モグライダーとは、地中と地上の両方をシームレスに移動できるハイブリッド探査ロボットである。外観は流線型のボディに多脚式ドリルヘッドと小型プロペラを組み合わせた独特のフォルムを持ち、坑道掘削や土壌分析、災害時の人命救助点検など幅広い用途に対応する。従来のトンネルボーリングマシンや地上移動用ドローンでは難しかった「地中入口から地中深部へ進入し、再び地上へ浮上して情報を伝達する」という一連の動作を、1台で完結することが最大の特徴だ。
モグライダーの開発は、株式会社モグテック(本社:東京都千代田区)が2018年に着手し、2021年にプロトタイプを完成させた。小型軽量化と高出力バッテリーの両立を追求し、全長1.8m・重量75kgというコンパクトサイズながら、連続稼働時間は最大6時間、地中移動速度は平均2km/h、空間移動速度は最大40km/hを実現した。搭載センサーは地中レーダー(GPR)、LIDAR、温度・湿度センサー、ガス検知器など多岐にわたり、地中空洞の形状把握から、地下パイプラインの漏水検知、地震後の倒壊建築物内の生存者探索まで多彩に活躍する。
システム構成は大きく「地中モード」と「空中モード」に分かれ、地下では前方ドリルヘッドで土砂や岩盤を削りながらボディ前面に搭載した排土コンベアで土砂を後方へ排出。内部には振動減衰機構を備え、センシング精度を保ったまま安定移動を行う。地上へ浮上する際には一度入口付近で排土体を退避させた後、上部プロペラを起動してスムーズに離陸。離れた安全地帯からのリアルタイム遠隔操作が可能となる。
活用事例としては、 ・鉱山開発における新規坑道の掘削前調査 ・都市部地下化工事での地盤強度・隙間調査 ・地震や土砂崩れ後の被災建物内部の被害状況把握 ・上下水道管路の老朽化部位の点検・補修支援 ・考古学発掘現場での埋蔵文化財損傷リスクの軽減
など、多岐に渡る。今後はAIによる自律軌道制御機能の強化、さらに小型化・コストダウンを進め、電力プラントや空港施設など大型構造物のインフラ点検にも対応していく計画である。
<主な機能・特長(5項目以上)> 1.二重モード移動機構:地中ドリル&地上プロペラによるシームレス移行 2.高精度センシング:地中レーダー(GPR)+LIDAR+ガス検知器の複合装備 3.振動減衰機構:ドリル掘削時のセンサー誤差を最小化 4.遠隔操作/自律運航:リアルタイム通信によるマニュアル操作とAI自律航行 5.モジュール化設計:バッテリーパック・センサーユニットの着脱交換対応 6.連続稼働6時間:高容量リチウムイオンバッテリーによる長時間ミッション 7.軽量コンパクト:全長1.8m・重量75kgで狭隘部にも侵入可能
<参考文献・参考URL> 1. 株式会社モグテック「モグライダー公式サイト」 https://www.moglider.co.jp 2. 日本機械学会地中探査部会「モグライダーの開発動向と応用事例」 https://www.jsmec.org/articles/moglider2021.pdf 3. TechCrunch Japan「モブテックの地中探査ロボ ‘モグライダー’ が実証実験を開始」 https://jp.techcrunch.com/2022/07/15/moglider/ 4. 日経XTECH「地上と地中を一挙に探査、ハイブリッドロボット『モグライダー』を解剖」 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/ 5. Wikipedia「モグライダー」 https://ja.wikipedia.org/wiki/モグライダー