消費者物価指数(しょうひしゃぶっかしすう、CPI: Consumer Price Index)は、一般消費者が日常生活で購入する商品やサービスの価格変動を総合的に把握するための統計指標です。消費者物価指数は、特定の基準時点(基準年)を100として、調査対象地域における代表的な買い物かご(消費者物価指数バスケット)に含まれる品目の価格を継時的に調査・集計し、時系列で指数化したものです。消費者物価指数は、主に以下の目的で活用されます。 1. インフレ率(物価上昇率)の計測:消費者物価指数の前年同月比からインフレ率を求め、物価の安定度合いを把握する。 2. 実質指標の算出:名目GDPや賃金などを実質化する際のデフレーターとして用い、経済成長率や実質購買力の変化を評価する。 3. 社会保障制度の調整:年金や生活保護費などの給付額を物価変動に応じて自動的に調整する仕組みに利用する。 4. 金融政策の判断材料:中央銀行が物価の動向を基に政策金利を決定し、金融緩和や引き締めのタイミングを図る。
消費者物価指数の計算にあたっては、まず消費者が実際に購入する代表的な品目を選定し、品目ごとに支出額の比重(ウェイト)を設定します。ウェイトは家計調査結果に基づき、品目ごとの支出構成比を反映します。そのうえで、各品目の価格を継続的に調査し、品目ごとの価格指数を算出した後、ウェイトで加重平均して総合指数を得ます。日本では総務省統計局が毎月の消費者物価指数を公表しています。
ただし、消費者物価指数には以下のような留意点があります。第一に、代表的な品目の選定やウェイトの設定が実勢とずれる場合、実際の消費動向を完全に反映しきれないことがあります。第二に、品質改善や新製品の導入による価格変動をどのように調整するか(品質調整)の手法が指数の解釈に影響を与えます。第三に、地域差や季節変動、特定品目の価格大幅変動などが指数全体に与える影響をどの程度排除するかが課題となります。
それでもなお、消費者物価指数は国民経済の物価動向を把握する上で最も基本的かつ重要な指標の一つです。政府や中央銀行、企業、研究機関、メディア、家計など多くの主体が消費者物価指数を参照し、物価安定施策や経済活動の計画・実行に役立てています。
【特徴(5項目以上)】 1. 消費者物価指数は、基準年を100とし、基準年以降の価格変動を比較できる形で指数化されている。 2. 調査対象品目は、食料、住居、光熱・水道、被服及び履物、保健医療、交通・通信、教育・娯楽など多岐にわたる。 3. 各品目の支出割合に基づきウェイトを設定し、品目ごとの価格指数を加重平均して総合指数を算出する。 4. 品質改善や新製品の導入などによる実質的な価値変化を補正する品質調整が行われる。 5. 国や地域ごとに調査方法や品目構成、ウェイトの更新時期が異なるため、比較の際には留意が必要である。 6. コアCPI(生鮮食品を除く総合指数)やサービスCPIなど、特定の品目群を除外した派生指数も公表される。
【参考文献・ウェブサイト】 1. 総務省統計局「消費者物価指数(CPI)」https://www.stat.go.jp/data/cpi/index.html 2. 日本銀行「物価見通しと消費者物価指数の役割」https://www.boj.or.jp/statistics/pi/index.htm/ 3. OECD「Consumer Price Indices – OECD Data」https://data.oecd.org/price/consumer-price-index-cpi.htm(英語) 4. 国際通貨基金(IMF)「World Economic Outlook Database」https://www.imf.org/en/Publications/WEO/weo-database/2023/October(英語) 5. 内閣府「国民経済計算―デフレーターの動向」https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html 6. 日本総合研究所「CPIの基本的性格と利用法」https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=####(仮URL)