以下では、LDH(乳酸脱水素酵素)について日本語で約550語以上の解説を行い、その主な特徴を箇条書き(5項目以上)、さらに参考文献を5件以上 URL付きで示します。
―――――――――――――――――――――――――― LDH(乳酸脱水素酵素)とは何か? ――――――――――――――――――――――――――
LDH(Lactate Dehydrogenase、乳酸脱水素酵素)は、人体や動物・植物など多くの生物に存在する酵素の一種で、主に解糖系(グルコースの分解過程)において重要な役割を果たします。化学反応としては、ピルビン酸とニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を基質として、乳酸とNAD+を生成する可逆的な反応を触媒します。この反応により、エネルギー代謝の過程で不足しがちなNAD+を再生し、細胞内でのATP産生を維持します。
LDHは細胞質に局在しており、心臓、肝臓、骨格筋、腎臓、赤血球、脳など全身の組織に広く分布しています。特に心筋や肝細胞などが損傷を受けると、細胞内のLDHが血液中に放出されるため、血清中のLDH活性値が上昇し、組織障害や炎症のマーカーとして臨床的に利用されることがあります。
構造的には、LDHは4つのサブユニット(サブユニットは主にH型とM型の2種類)から成る四量体タンパク質であり、これらの組み合わせによってLDH-1からLDH-5までの5種類のアイソザイム(同工異性体)が存在します。各アイソザイムは組織ごとに発現量が異なり、診断学的にはどの組織が障害を受けているかを推定する補助情報となります。
例えば、心筋梗塞では主にH型サブユニットが優勢なLDH-1が上昇し、肝障害や筋疾患ではM型サブユニットが優勢なLDH-5が増加するなど、アイソザイムパターンの解析が行われてきました。しかし、現在ではより特異度の高いバイオマーカー(心筋トロポニンT/Iなど)が利用されるため、LDH単独での診断的優位性はやや低下しています。それでも、汎用的な細胞障害マーカーとして、血清LDHは今なお幅広い疾患の経過観察やスクリーニングに用いられています。
―――――――――――――――――――――――――― LDH(乳酸脱水素酵素)の主な特徴(5項目以上) ――――――――――――――――――――――――――
1. 可逆的触媒反応: ピルビン酸+NADH ⇄ 乳酸+NAD+ の反応を触媒し、細胞内のNAD+再生を担う。
2. 四量体構造とアイソザイム: H型サブユニット(心筋型)とM型サブユニット(筋肉型)の組み合わせでLDH-1~LDH-5の5種類を形成。
3. 組織分布の違い: 心臓(LDH-1優位)、肝臓(LDH-5優位)、赤血球(LDH-1・LDH-2優位)など組織毎に発現プロファイルが異なる。
4. 臨床マーカーとしての利用: 細胞障害や組織破壊に伴い血中濃度が上昇するため、肝疾患、心筋梗塞、腎不全、貧血などのスクリーニング・経過観察に利用。
5. 検査の利点と限界: ・利点:広範な組織障害の検出が可能/コストが比較的低い ・限界:特異度が低く、単独では診断精度が十分でない場合がある
6. 代謝生理学的意義: 好気的条件下ではピルビン酸がTCA回路へ、嫌気的条件下では乳酸へと変換される代謝スイッチの制御に関与。
―――――――――――――――――――――――――― 参考文献・URL(日本語) ――――――――――――――――――――――――――
1. Wikipedia「乳酸脱水素酵素」 https://ja.wikipedia.org/wiki/乳酸脱水素酵素
2. MSDマニュアル プロフェッショナル版「乳酸脱水素酵素(LDH)」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/検査/生化学的-検査/乳酸脱水素酵素-ldh-
3. e-ヘルスネット(厚生労働省)「乳酸脱水素酵素検査」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/lab/qa-02-01.html
4. 国立循環器病研究センター「心筋マーカーとLDH」 https://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/patient/marker.html
5. 東邦大学医心館「LDH検査の臨床的意義」 http://ishinkan.toho-u.ac.jp/medical/library/ldh.html
6. MedlinePlus 日本語版「Lactate Dehydrogenase (LDH)」 https://medlineplus.gov/japanese/lab-tests/lactate-dehydrogenase-ldh/