サロメ（Salome）は、新約聖書の記述を起源とし、演劇・オペラ・美術作品などさまざまな芸術分野で取り上げられてきた人物・題材です。以下ではまずサロメとは何かを概観し、その後特長をリスト化し、最後に参考文献（ウェブサイト）を示します。
―――――――――――――――――― 1. サロメの概要 サロメは新約聖書『マルコによる福音書』や『マタイによる福音書』に登場する、ヘロデ大王の王女ヘロディアの娘とされる女性です。史実としての詳細は不明ですが、古代ユダヤ地方の王族に属す少女として描かれ、後の伝承や美術では「七つのヴェールの踊り（Dance of the Seven Veils）」を舞って洗礼者ヨハネ（バプテスマのヨハネ）の首を要求し、その首が皿に盛られて彼女に渡されるという劇的なエピソードで知られています。
この物語は中世以降、ヨーロッパのキリスト教世界で罪と罰、女性の妖艶さと残酷さを象徴するテーマとして受容され、象徴主義やデカダンスの画家たちに衝撃を与えました。19世紀末にはオスカー・ワイルドが英語の戯曲『サロメ』（1891年）を著し、リヒャルト・シュトラウスがこれを基にオペラ『サロメ』（1905年）を作曲。20世紀を通じて演劇、映画、バレエ、現代美術など多岐にわたる創作のモチーフとなっています。
2. サロメがもつ文化的意義 ・聖書物語の登場人物としての歴史的・宗教的意義 ・“妖婦”“ファム・ファタール”の典型像としての象徴 ・芸術家たちによる表現実験の対象 ・近代演劇・オペラへの重要な題材提供 ・ジェンダー論やフェミニズム研究の論点
―――――――――――――――――― 3. 特長（Features） 1. 起源と伝承： 新約聖書の叙述を起点に、ユダヤ系王族としての血統と復讐劇の中心人物として伝承されている。 2. 踊りのモチーフ： 「七つのヴェールの踊り」は、官能性と神秘性を兼ね備えた象徴的シーンとして、美術作品や舞台演出で繰り返し引用される。 3. 芸術家のインスピレーション： オスカー・ワイルド（戯曲）、リヒャルト・シュトラウス（オペラ）をはじめ、グスタフ・クリムトやオーブリー・ビアズリーなど多くの画家・作家が独自解釈を行ってきた。 4. フェミニニティと権力： 女性の魅力を武器に政治権力を揺さぶるキャラクターとして、ジェンダー研究や文化批評の対象となっている。 5. 映像化と舞台化： サイレント映画時代から現代映画、バレエ、ダンス公演、現代演劇など、多様なメディアで絶えず新しい解釈が試みられている。 6. 象徴主義・デカダンスの象徴： 19世紀末の象徴主義文化圏で、堕落やエロティシズムのアイコンとして扱われ、美術史的に重要な位置を占める。
―――――――――――――――――― 4. 参考文献・ウェブサイト（日本語） 1. 「サロメ」– Wikipedia（日本語） https://ja.wikipedia.org/wiki/サロメ 2. 「サロメ (ワイルド)」– Wikipedia（日本語） https://ja.wikipedia.org/wiki/サロメ_(ワイルド) 3. 「サロメ (リヒャルト・シュトラウス)」– Wikipedia（日本語） https://ja.wikipedia.org/wiki/サロメ_(リヒャルト・シュトラウス) 4. オペラ情報サイト OperaOnline – サロメ https://operaonline.jp/musicinfo/3530/ 5. ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 – サロメ https://www.britannica.jp/word/サロメ 6. AllCinema – 映画『サロメ』（1923）作品情報 https://www.allcinema.net/cinema/85245 7. 日本映画データベース – サロメ（1908年フランス） https://www.japanese-cinema-db.jp/Details?id=5447
以上のように、サロメは古代の聖書物語に端を発しながら、演劇・音楽・美術・映画といった各分野で繰り返し取り上げられ、妖艶さと残酷さを併せ持つ象徴的キャラクターとして今なお多くの人々を魅了し続けています。
