ネパールは、南アジアに位置する内陸国で、東西に約800キロ、南北に約200キロにわたって広がる山岳国家です。国土面積は約14万8千平方キロメートルで、世界最高峰エベレスト(サガルマータ)をはじめとするヒマラヤ山脈の多くが国土内に含まれます。首都カトマンズを中心に多様な民族と文化が共存し、ネワール、タマン、マガール、グルン、タライのタルーなど100以上もの民族集団が暮らしています。

歴史的には、紀元前にインダス文明との交流が始まり、その後シャンカラチャリヤらヒンドゥー教の影響を受けつつ、中世にはマッラ王朝による都市国家群が栄えました。1768年にシャー朝のビクラム・シェーラムがカトマンズを統一し、近代ネパール国家の礎を築きます。1951年に長いランジット政権が終焉し、立憲君主制が始まりましたが、2008年に王制は廃止され、現在は連邦民主共和国となっています。

気候は南のタライ低地が熱帯から亜熱帯、中央のヒマラヤ山麓では温帯、高峰部では永久凍土・アルパインと多様で、農業生産にも地域ごとの特徴を生み出しています。コメやトウモロコシ、ジャガイモなどが主食で、家畜のヤクや水牛も重要な生業資源です。一方、1996年から2006年まで続いた毛派(共産党毛派)反乱や、2015年の大地震などによる社会インフラへのダメージが残る中、復興と発展が課題となっています。

経済は主に農林業・観光・労働者海外送金に依存しており、GDPの約25%を海外出稼ぎ労働者からの送金が占めます。近年はインドや中国、欧州などからの観光客誘致に力を入れ、登山やトレッキング、仏教・ヒンドゥー教遺跡巡りが盛んです。UNESCO世界遺産にもパタンの遺跡群やチトワン国立公園が登録されており、自然・文化資産を活用した持続可能な観光開発が進められています。

政治体制は連邦制の共和国で、7つの州(プロビンス)に分かれています。州政府と連邦政府が一定の権限を分担し、地方分権が推進されています。国会は二院制(下院・上院)で構成され、首相を長とする内閣が行政を統括します。政党は国民会議派、共産党系(毛派、統一社会主義など)が主要勢力を占め、近年は連立政権が常態化しています。

文化的にはシヴァ神をはじめとするヒンドゥー教と仏教が深く根付き、毎年多数のヒンドゥー祭や仏教の行事が行われます。言語は公用語のネパール語(ネパール語:नेपाली)を中心に、多言語社会をなしており、学校教育でも英語が準公用語的に使われます。音楽やダンス、伝統工芸(木彫、金属工芸、織物など)も自治体や村落ごとに特色があるのが大きな魅力です。

ネパールは現在、経済・社会の近代化と伝統文化の継承、自然保護と観光振興、地方分権と中央統制のバランスといった多くの課題と可能性を抱えながら、南アジアの要衝として、その独自の魅力を世界に発信し続けています。

【ネパールの主な特徴(5つ以上)】 1. 世界最高峰エベレスト(標高8,848m)を含むヒマラヤ山脈が国土の北部を占める。 2. 人口約3,000万人、100以上の民族・言語グループが共存する多文化・多言語国家。 3. 農業と海外出稼ぎ送金が経済の基盤。送金額はGDPの約25%を占める。 4. 2008年に王制廃止し、現在は7州連邦民主共和国制を採用。二院制議会が立法を担う。 5. UNESCO世界遺産は文化遺産4件(カトマンズ谷、パタン・バクタプル遺跡群など)と自然遺産1件(チトワン国立公園)。 6. ヒンドゥー教と仏教が主流の宗教で、祭礼や儀礼が生活に深く根付いている。 7. タライ平野から山岳地帯まで気候帯が多様で、エコツーリズムのポテンシャルが高い。

【参考文献・ウェブサイト】 1. 外務省「ネパール共和国」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/nepal/index.html 2. JICA ネパール共和国 https://www.jica.go.jp/nepal/ 3. 世界銀行「Nepal Overview」 https://www.worldbank.org/ja/country/nepal/overview 4. ネパール政府観光局(Welcome Nepal) https://www.welcomenepal.com/ 5. UNESCO 日本語サイト「ネパール」 https://ja.unesco.org/countries/nepal 6. CIA World Factbook “Nepal” https://www.cia.gov/the-world-factbook/countries/nepal/ 7. BBC News “Nepal profile” https://www.bbc.com/news/world-south-asia-12655304

投稿者 wlbhiro

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