INIファイル(Initialization File)は、主にWindows環境で使用されてきた設定ファイルの形式の一つです。拡張子「.ini」を持ち、プログラムが起動時に読み込む各種設定情報をテキスト形式で保持します。INIファイルはシステム全体の設定やアプリケーションごとの環境設定を簡単に編集できる点が特徴で、Microsoft Windowsの初期バージョンではレジストリが広く普及する前から利用されていました。

INIファイルの基本構造は「セクション」と「キー=値」の組み合わせです。セクションは角かっこ[ ]で囲まれた見出し行で記述し、その下にキーと値を「=(イコール)」で結んだ形式で並べます。例えば、 [UserSettings] username=tanaka language=ja といった形で、UserSettingsというセクションにusernameやlanguageという鍵(キー)とその値を保持できます。さらに、コメント行は「;(セミコロン)」や「#(シャープ)」で始め、プログラムの動作には影響を与えずに開発者向けのメモを書き込むこともできます。

近年ではレジストリやJSON、XML、YAMLといったより表現力豊かな設定ファイル形式が主流となり、INIファイルの使用例は減少傾向にあります。しかし、そのシンプルさや人間が読み書きしやすいという特性から、小規模なアプリケーションや組み込み系の設定ファイルとして今なお採用されるケースがあります。また、クロスプラットフォーム対応のオープンソースライブラリによって、Windows以外のOSでもINI形式を利用することが可能です。

INIファイルは次のような用途で用いられます。 1. アプリケーションの起動オプションやユーザー環境設定 2. システム全体の設定(例:サービスやドライバの初期パラメータ) 3. ゲームの各種設定(解像度、キーボード配置、音量など) 4. 組み込み機器の動作モードや通信設定 5. テスト/開発環境における簡易設定管理

このように、INIファイルはテキストエディタがあれば誰でも簡単に閲覧・編集できる利便性があり、設定の変更をリアルタイムで反映させる用途などにも向いています。

特徴(Features) ・人間が読み書きしやすいプレーンテキスト形式 ・セクション[ ]による設定のグルーピングが可能 ・キー=値のシンプルな構文で構成 ・コメント行(; または #)を自由に挿入できる ・レジストリに比べて修正・バックアップが容易 ・専用のパーサーライブラリを利用して多言語・多OS対応が可能 ・ファイルの差分管理がしやすく、バージョン管理システムとの相性が良い

参考文献・URL 1. 「INIファイルとは」 – Wikipedia 日本語版 https://ja.wikipedia.org/wiki/INIファイル 2. 「INIファイルの読み書き(VB.NETサンプル付き)」 – どぼんネット https://dobon.net/vb/dotnet/file/ini.html 3. 「INIファイルの構造と使用例まとめ」 – Qiita(akameco) https://qiita.com/akameco/items/0a4ea9bbb84635531943 4. 「INI設定ファイル入門【Windowsプログラミング】」 – TechAcademyマガジン https://techacademy.jp/magazine/5991 5. 「WritePrivateProfileString 関数 (winbase.h)」 – Microsoft Docs(日本語) https://docs.microsoft.com/ja-jp/windows/win32/api/winbase/nf-winbase-writeprivateprofilestring

投稿者 wlbhiro

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