FIA世界耐久選手権(FIA World Endurance Championship、通称WEC)は、国際自動車連盟(FIA)とACO(ル・マン主催者協会)が共同で運営する国際耐久レースのトップカテゴリです。2012年に創設され、世界中のサーキットで行われる複数のラウンドから構成されています。とりわけ「ル・マン24時間レース」を絶対的なハイライトとして位置づけ、マニュファクチャラーからプライベートチーム、プロのドライバーからセミプロまで幅広い参加体制を特徴としています。
WECは単なるスプリントレースではなく、車両とドライバーの信頼性・耐久性、そして戦略・チームワークが極限まで試されるモータースポーツです。エンジニアリングやテクノロジーの最先端を追求する場でもあり、ハイブリッドシステムをはじめとした次世代動力技術の実用化・検証の場としても位置づけられています。大排気量エンジンから電動化技術まで、多様なメカニズムが同一レースで競い合うという点も大きな魅力です。
歴史的に見ても、ル・マン24時間レースをはじめとする耐久レースは「究極のモータースポーツ」と呼ばれ、その栄光と伝統は70年以上に及びます。WECはこうした伝統を継承しつつ、グローバルシリーズとしての整備、統一されたポイントシステム、複数クラス制の導入により競技性とエンターテインメント性を高め、モータースポーツファンのみならず自動車メーカーにも高い注目を集めています。
以下にWECの主な特徴をまとめます。
1. 複数クラス制 – LMP1(現Hypercar)/LMP2などプロトタイプクラスと、LMGTE Pro/LMGTE AmなどGTクラスの混走レース。異なる性能の車両が同時にコースを走行し、戦略や追い越し技術の面白さが際立つ。
2. 世界7~9戦を巡るシリーズ戦 – 欧州、アジア、北米、中東など世界各地のサーキットを舞台に、シーズンを通じてポイントを争う。多様なコース特性が求められる。
3. ル・マン24時間レースの存在 – シリーズ最大の見せ場として位置づけられ、年間王者を決める上で重要なポイントを提供。耐久レース最大の栄誉。
4. 最新技術の実用化・開発プラットフォーム – ハイブリッドシステム、回生ブレーキ、軽量素材など自動車技術の最先端が投入され、市販車への技術フィードバックが期待される。
5. 厳格な規則とバランス・オブ・パフォーマンス(BoP) – 各車両の性能差を調整するBoPにより競争を公平に維持。空力、重量、パワー出力などが細かく規制・調整される。
6. ドライバー交代とチームワーク – 一台のマシンを複数名のドライバーが交代するため、ドライバー間のコミュニケーションやタイヤ・燃料戦略が勝敗を大きく左右する。
参考文献(日本語) 1. FIA世界耐久選手権 公式サイト https://www.fiawec.com/ja/ 2. JAFモータースポーツ:FIA WEC 概要 https://www.jaf.or.jp/ms/sports/wec/ 3. Wikipedia「FIA世界耐久選手権」 https://ja.wikipedia.org/wiki/FIA%E4%B8%96%E7%95%8C%E8%80%90%E4%B9%85%E9%81%B8%E6%89%8B%E6%A8%A9 4. AUTOSPORT web(オートスポーツ・ウェブ)「WEC レースニュース」 https://www.as-web.jp/supergt/wec 5. Motorsport.com 日本版「WEC 特集」 https://www.motorsport.com/japan/wec/ 6. ル・マン24時間レース公式(ACO)日本語情報 https://www.lemans.org/ja 7. Car Watch「モータースポーツコラム:WEC」 https://car.watch.impress.co.jp/doc/column/motorsport/ 8. AUTO ONE「FIA世界耐久選手権の魅力」 https://auto-one.jp/feature/wec/