自民党総裁選挙とは、日本の自由民主党（以下「自民党」）が党のトップである総裁を選出するために実施する選挙制度です。総裁は党の最高責任者として政策決定と党務執行を担い、かつ自民党が政権与党である場合には日本国の内閣総理大臣を兼務するのが通例です。ここでは自民党総裁選挙の概要、手続き、歴史的背景などを500字以上で解説します。
自民党総裁選挙は、党則に基づいて4年ごと（補欠がある場合は例外）に行われます。候補者は党所属の国会議員および党執行部が定める必要推薦人数を満たすことが出馬条件です。推薦人は衆参両院議員および党所属の都道府県連の代議員から構成される「両院議員総会」と「党員・党友投票（地方票）」の合計点で選出決定されます。
選挙制度はカンニングペーパー方式や電子投票方式ではなく、各都道府県連ごとに割り当てられた地方票と国会議員票を合わせて投票用紙に記名投票する伝統的な方法です。具体的には、衆参両院議員の1票につき地方票（一県100票に相当）が加算されるかたちで選挙人の総得票数を算出します。過半数を得られなかった場合、上位2名による決選投票（第二回投票）が行われます。
歴史的には、自民党の前身である保守合同以来、佐藤栄作、田中角栄、中曽根康弘、竹下登、小泉純一郎、安倍晋三など多くの首相経験者が総裁選を経て総裁に就任し、党勢拡大や政策展開に大きな影響を与えてきました。近年では、派閥調整だけでなく党員・党友の意見を反映させる点が重視され、党内民主主義の向上を目指す動きがあります。
総裁選挙は単に党首を決めるだけでなく、政権運営の方向性を示す「国民へのアジェンダ提示」の場ともなります。候補者は外交安全保障、経済政策、社会保障、地方創生など多くの課題について政策論争を展開し、党員や国民の注目を集めます。また、党内外の支持動向を測る指標ともなり、党勢強化や次期衆参選挙への影響力を持ちます。
【自民党総裁選挙の主な特徴】 ・候補者要件：党所属国会議員の所定数の推薦が必要。 ・選挙人構成：衆参両院議員票と都道府県連ごとの地方票（全国47都道府県各100票）で構成。 ・投票方法：記名投票による多数決。過半数未達の場合は上位2名で決選投票を実施。 ・任期と解任：総裁の任期は4年。任期途中の辞任や政策不一致による解職決議も規定。 ・立候補の公示・公募：立候補届出期間、記者会見、公開討論会などを経て候補者が決定。 ・派閥調整の要素：党内派閥の支持獲得が候補者戦略に不可欠。 ・党員・党友参加：従来は国会議員中心だったが、近年は党員や地方党員（党友）の投票比重向上を図る動き。 ・決選投票制度：過半数を得られない場合、上位2名による再投票を実施し総裁を確定。 ・透明性向上策：インターネット討論、公開演説会、各種メディアでの政策発表会などを積極的に導入。
【参考文献・参考サイト】 1. 自由民主党「党則」公式サイト URL: https://www.jimin.jp/about/party/rule/ 2. 自由民主党「総裁選挙の手続き」ページ URL: https://www.jimin.jp/news/paper/129793.html 3. Wikipedia「自由民主党総裁選挙」 URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/自由民主党総裁選挙 4. NHK政治マガジン「自民党総裁選の仕組み」 URL: https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/35939.html 5. 朝日新聞デジタル「自民党総裁選、過去の動向と展望」 URL: https://www.asahi.com/articles/ASL3K4T44L3KUTFK00H.html 6. 産経ニュース「自民党総裁戦の潮流」 URL: https://www.sankei.com/politics/news/210829/plt2108290018-n1.html
