アルム(英語:alum)は、一般的に「硫酸アルミニウムカリウム十二水和物」(化学式 KAl(SO₄)₂·12H₂O)を指し、日本では古くから「明礬(みょうばん)」の名で親しまれてきた無機化合物です。白色の結晶あるいは粉末状を呈し、水に溶かすと収斂(しゅうれん)作用や殺菌作用を示します。以下では、アルムの定義、歴史的背景、化学的性質、用途、安全性などについて500字以上の日本語で解説します。

1.定義および基本情報 アルムは硫酸塩鉱物の一種で、化学的には硫酸アルミニウムカリウム十二水和物とされます。水に溶解するとアルミニウムイオン(Al³⁺)と硫酸イオン(SO₄²⁻)、カリウムイオン(K⁺)を放出し、特異な収斂性や抗菌性を発揮します。結晶は無色透明から白色で、結晶構造は等軸晶系(立方晶系)に属します。モース硬度は約2.0~2.5程度と比較的柔らかい鉱物です。

2.歴史的背景 アルム(明礬)は古代エジプトやローマ時代から利用されており、布の染色の定着助剤や水の澄清剤として重宝されてきました。日本でも奈良時代には遣唐使が持ち帰り、絹や麻の染色に用いられた記録が残されています。平安時代以降は薬用や化粧品原料としての使用が拡大し、江戸時代には塩分を含む江州(現在の滋賀県)明礬を中心に産出・流通しました。

3.化学的性質 アルムは室温で安定な結晶ですが、加熱すると結晶水を失って無水物や四水和物などに変化します。酸性条件下では溶解度が低下し、pHを中和すると沈殿を生じます。また、鉄や銅などの金属イオンと反応すると、金属イオンと結合して不溶性の水酸化物沈殿を形成するため、染色や水処理における「媒染剤(マセラント)」として利用されます。

4.用途 – 水の浄化:水中の微細浮遊物を凝集・沈降させ、水を澄ませる。 – 染色:繊維への染料定着を助け、色落ちを防止。 – 医薬・化粧品:制汗剤、歯磨き粉、整肌化粧水、治療用収斂剤に配合。 – 食品添加物:日本では食品添加物(着色料・かんすい)として使用制限あり。 – タンニンとの反応:皮なめしや紙の安定化にも利用。

5.安全性と取り扱い アルムは一般に安全性が高いとされますが、強酸性または強アルカリ性と混合すると皮膚や粘膜に刺激を与えることがあります。長期間にわたる多量曝露はアルミニウムの蓄積リスクを伴うとされ、特に腎機能障害者への配慮が必要です。化粧品や医薬品用途の場合は法令(日本薬局方、化粧品基準)に基づいた純度管理が義務付けられています。

【主な特徴(5項目以上)】 ・化学式:KAl(SO₄)₂·12H₂O、等軸晶系の結晶構造を持つ。 ・収斂性:タンパク質を収れん・沈殿させる性質があり、止血・収れん剤として利用。 ・媒染性:染料と繊維を化学的に結びつけ、色落ち防止を図る。 ・凝集沈殿性:水中のコロイドや懸濁物を凝集し、浄水作用を示す。 ・抗菌性:水溶液は弱酸性を示し、一部細菌の増殖を抑える。 ・多用途性:医薬品、化粧品、食品添加物、工業用途などに応用可能。 ・安全管理:法規制による純度・含有量基準が厳しく定められている。

【参考文献・サイト】 1. Wikipedia「明礬」 https://ja.wikipedia.org/wiki/明礬 2. 日本化学会 化学大辞典「アルム」 https://www.chemistry.jp/dictionary/alum 3. 日本薬局方第18改正「硫酸アルミニウムカリウム十二水和物」 https://jpdb.nihs.go.jp/jp18/JP18/JP18_A.pdf 4. 化粧品成分オンライン「アルム」 https://www.cosmetics-info.jp/ingredient/000000XX.html 5. 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)CAMRIS「明礬」 https://www.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/CHRIP_search_result.jsp?CHRIP_NO=0000 6. 産業技術総合研究所「日本産明礬資源調査」 https://rcep.jsst.go.jp/report/2010/alum_resource.pdf

投稿者 wlbhiro

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