タイブレーク(tiebreak)は、テニスにおいてセットのゲーム数が6対6となった際に適用される決着法の一つです。従来の「デュースアドバンテージ方式」では付加ゲームを延々と行う必要がありましたが、タイブレークの導入により試合時間の短縮や選手の過度な疲労防止が図られています。以下では、タイブレークの仕組みや歴史的背景、適用方法、戦術面の特徴などを詳述します。

1. 背景と歴史 タイブレークは1970年代初頭にアメリカのプロテニス界で試験的に導入され、1975年の全米選手権(現全米オープン)で公式採用されました。採用前はセットが6‐6となると試合がいつ終わるか分からず、夜間照明設備のない時代には大きな問題でした。ジョン・ニュカンプらの提案により、まず「13ポイント制タイブレーク」(7ポイント先取)として採用されたのが始まりです。

2. ルールの概要 タイブレークでは、サービス権やコートサイドなど通常のゲーム進行とは異なる細かい規定があります。 – 第1ポイントは前のゲームをサービスした選手が1ポーチ型からサーブし、その後は交互に2回ずつサーブを行う。 – ポイントカウントは「0,1,2…」と数え、先に7ポイント以上かつ相手と2ポイント以上の差をつけた選手がセットを取得。 – スコアはセット表記のタイブレークゲーム後に「7–6(7–4)」のように括弧内でタイブレークの得点が示される。

3. 種類と大会ごとの採用例 グランドスラム4大会では、全豪・全米は第5セットでも通常タイブレークを採用するが、ウィンブルドンは12–12タイブレーク、全仏は最終セットは従来どおり無制限ゲームと大会ごとに微妙に規定が異なる。ツアーレベルでも「スーパータイブレーク」(10ポイント先取)をダブルスにおける第3セット代替として用いるなど多様化しています。

4. 戦術的特徴 タイブレークは短期決戦の性格を持つため、サービスの重要性が一層増します。ブレークポイントが存在せず、一つのミスが致命傷となるため、強力な1stサーブでプレッシャーをかけるか、リターンを積極的に攻めるかの駆け引きが激化します。また、メンタル面も問われ、「流れを掴む」ためにコートチェンジ後のリラックスや集中維持のテクニックがカギとなります。

5. メリット・デメリット メリットとしては試合時間の短縮、観客やテレビ放送の計画が立てやすい点が挙げられます。一方で「ドラマティックな延長戦を楽しみにするファン」や「粘り強く試合を進める選手」からは賛否が分かれ、特に最終セット無制限文化を重んじる由緒ある大会では導入に慎重な姿勢が見られます。

以上のように、タイブレークはテニス界に大きな変革をもたらしたルールであり、現在ではほとんど全てのプロ大会で何らかの形で採用されています。試合のテンポやドラマ性、選手の戦術、ファンの観戦体験にも大きく影響を与える重要な要素です。

<タイブレークの主な特徴(リスト形式)> 1. 7ポイント先取かつ2ポイント差方式:通常は7点先取だが、最低2点差が必要。 2. サービスの順序:第1ポイントは次ゲームのサーバーが1回、以降は交互に2回ずつサービス。 3. コートチェンジ:6ポイント終了後(3–3)に一度だけコートを変更。 4. スコア表記:セットスコアを「7–6(tie-break得点)」として括弧内に記載。 5. 大会ごとのバリエーション:グランドスラムやATP/WTAツアーで採用方式が異なる場合あり。 6. スーパータイブレーク:ダブルスの第3セット代替などで10ポイント先取方式が用いられる。

<参考文献・ウェブサイト> 1. 日本テニス協会公式サイト「テニスルール解説」 https://www.jta-tennis.or.jp/rule/ 2. ITF(国際テニス連盟)公式ルールブック(日本語版) https://www.itftennis.com/media/2824/2022-rules-of-tennis-jpn.pdf 3. Wikipedia「タイブレーク (テニス)」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%AF_(%E3%83%86%E3%83%8B%E3%82%B9) 4. 全米オープン公式サイト「Scoring System」 https://www.usopen.org/en_US/scoring/ 5. ATP公式サイト「Rule Book」 https://www.atptour.com/en/corporate/rulebook

投稿者 wlbhiro

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