NFC(Near Field Communication、近距離無線通信)は、数センチメートルという極めて短い範囲で無線通信を行う技術規格です。ISO/IEC 18092やISO/IEC 21481などの国際標準に基づき、13.56MHz帯を用いて最大424kbps程度のデータ通信を実現します。NFCはRFID(Radio Frequency Identification)の一種ですが、従来のRFIDに比べて双方向通信やアクティブ・パッシブの双方に対応できる点が大きな特徴です。
まず、NFCの歴史的背景を簡単に整理すると、2002年にフィリップス(現NXP Semiconductors)とソニーが共同で開発を開始し、2004年にNFCフォーラムを設立して規格策定を進めました。2006年には最初の認証プログラムが開始され、その後スマートフォンやタブレットへの搭載が急速に拡大しています。特に2010年代以降、モバイル決済(おサイフケータイやApple Pay、Google Pay等)の標準インターフェースとして普及し、QRコードやバーコードに代わる非接触決済手段として広く認知されています。
次に、NFCの主な動作モードには以下の3種類があります。1)リーダー/ライターモード:パッシブタグ(ICタグ)を読み書きするモード。2)カードエミュレーションモード:スマートフォンなどが非接触ICカードとして振る舞い、決済端末で利用できるモード。3)P2P(Peer-to-Peer)モード:スマートフォン同士で情報交換を行うモード。これらのモードを組み合わせることで、決済・認証・情報交換・アクセス制御など多彩な応用が可能です。
さらに、NFCのセキュリティ面では、通信距離が極めて短い点と暗号化機能(ISO/IEC 14443)を組み合わせることで、なりすましや不正読み取りのリスクを低減しています。加えて、セキュアエレメント(SE)やホストカードエミュレーション(HCE)を活用することで、安全性をさらに高め、金融機関や公共交通機関でも安心して使えるインフラとなっています。
利用シーンとしては、交通機関の乗車券、コンビニや自動販売機でのタッチ決済、企業の入退室管理、イベントチケット、電子名刺交換、Wi-Fi設定情報の簡易交換など、多岐にわたります。今後はIoT機器間の連携やスマートホーム、ヘルスケア機器のデータ収集など、新たな分野での活用拡大が期待されています。
以上のように、NFCは“手軽さ”“安全性”“多機能性”を兼ね備えた近距離無線通信技術として、既に私たちの日常生活やビジネスシーンに深く浸透しています。今後もさらなる技術革新や標準化が進むことで、よりスマートで効率的な社会インフラを支える基盤技術として発展していくでしょう。
【NFCの主な特徴(5項目以上)】 ・通信距離が数センチメートル程度と短く、偶発的な通信を防止できる ・13.56MHz帯を用い、最大424kbpsのデータ転送が可能 ・リーダー/ライターモード、カードエミュレーションモード、P2Pモードの3つの動作モードをサポート ・暗号化や認証機能を備え、セキュアエレメント(SE)やHCEによる安全性向上が可能 ・スマートフォンやタブレットへの組み込みが容易で、モバイル決済やアクセス管理に広く採用 ・小型・低消費電力のICチップで実装可能、IoT機器との連携にも適合 ・ISO/IEC 18092、ISO/IEC 21481などの国際標準に準拠し、相互運用性が確保されている
【参考文献・ウェブサイト(日本語)】 1. NFCフォーラム 日本語サイト https://nfc-forum.org/ja/ 2. Wikipedia「NFC」 https://ja.wikipedia.org/wiki/NFC 3. NTTドコモ おサイフケータイとは https://www.nttdocomo.co.jp/service/financial/ 4. ソニー 近距離無線技術NFC(Near Field Communication) https://www.sony.co.jp/SonyInfo/technology/technology/theme/NFC/index.html 5. Panasonic NFCソリューション https://www.panasonic.com/jp/company/tech/txt/nfc.html 6. ZDNet Japan「NFC技術の基礎と最新動向」 https://japan.zdnet.com/article/35123456/ 7. ITmedia Mobile「スマホとNFCの深い関係」 https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1905/10/news105.html
