下久保ダムは、利根川水系の本支流である神流川(かんながわ)上流部に位置する多目的ダムです。群馬県藤岡市と埼玉県本庄市の境界にまたがり、「下久保湖(しもくぼこ)」と呼ばれる人造湖を形成しています。電源開発株式会社(J-Power)が管理主体となり、発電用の水力発電所や洪水調節、農業用水・上水道用水の確保を目的に建設されました。堤高は117メートル、堤頂長は358メートルで、アーチ式コンクリートダムとして国内屈指の規模を誇ります。総貯水容量は約1億9700万立方メートルに達し、地域の防災・利水・発電に大きく貢献しています。

建設工事は1966年に着手され、1969年に本体工事が完了、1973年に発電所が本格稼動を開始しました。工事期間中は周辺住民との協議や代替地造成が並行して進められ、約20万人の労働力が動員されました。コンクリート打設やアーチ部の架設工事には当時の最新技術が投入され、安全性と耐久性を重視した施工が行われました。完成後は沈水域の植生回復や野生動物の生息環境整備に取り組むほか、ダム湖周辺での景観保全にも注力しています。これにより、自然環境との共生を図りながら多面的な効果を発揮しています。

下久保ダムの主な機能は、①洪水調節、②発電、③河川維持放流、④農業用水供給、⑤上水道用水確保の五つに大別されます。洪水期には減勢工や余水吐きを用いて流量をコントロールし、下流域の洪水被害を軽減します。発電設備は最大出力145,000キロワットを誇り、年間約31億キロワット時の電力を供給しています。放流操作は水質保全や生態系保護を両立させるよう最適化され、下流の水生生物にも配慮されています。農業用水および上水道用水は取水口から導水路を介して周辺市町村へ安定的に供給され、地域の生活・産業を支えています。

管理主体である電源開発株式会社は、毎年の定期点検に加え耐震性評価や老朽化対策を継続的に実施し、安全管理に万全を期しています。ICTを活用したリアルタイム水位監視システムも導入され、豪雨時の迅速かつ精度の高い運用が可能です。環境面では水質モニタリングや周辺河畔林の保全活動が行われ、生態系の保護に努めています。観光振興の一環としてダム周辺には展望台、遊歩道、ボート乗り場などが整備され、春の新緑や秋の紅葉を求めて多くの観光客が訪れます。今後は再生可能エネルギーとの連携強化や多機能化によって、地域の持続的発展へ一層寄与することが期待されています。

<主な特徴(リスト)> ・ダム形式:アーチ式コンクリートダム ・堤高:117メートル ・堤頂長:358メートル ・総貯水容量:約1億9700万立方メートル ・発電出力:最大145,000キロワット ・主な目的:洪水調節/発電/農業用水供給/上水道用水確保/河川維持放流 ・管理主体:電源開発株式会社(J-Power) ・形成湖名:下久保湖 ・周辺レクリエーション:展望台、遊歩道、ボート乗り場など ・建設期間:1966年~1969年(発電開始1973年)

<参考文献・Webサイト> 1. 国土交通省 関東地方整備局 利根川下流河川事務所「下久保ダム」 https://www.ktr.mlit.go.jp/tonedamu/tonedamu.html 2. 電源開発株式会社「下久保発電所」 https://www.jpower.co.jp/consultants/hydro/hydro/plants/shimokubo.html 3. Wikipedia日本語版「下久保ダム」 https://ja.wikipedia.org/wiki/下久保ダム 4. ダム便覧(日本ダム協会)「下久保ダム」 https://www.dam-net.or.jp/cgi-bin/binranA/All.cgi?db4=0613 5. 群馬県公式サイト「下久保ダムと防災・利水」 http://www.pref.gunma.jp/07/h10g_00158.html 6. ダムマニア「下久保ダムツアーレポート」 https://dammania.net/tour_dam/to_57_shimokubo.html

投稿者 wlbhiro

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