# カメムシとは
カメムシは、昆虫綱カメムシ目に分類される昆虫の総称です。日本で一般に「カメムシ」と呼ばれている種類の多くは、カメムシ目の中でもカメムシ科、ツノカメムシ科、クヌギカメムシ科、ヘリカメムシ科などに含まれます。世界中には非常に多くの種類が存在し、日本でも数百種類が確認されています。体の形や色、大きさ、生活場所、食べ物は種類によって大きく異なります。
カメムシの代表的な特徴は、外敵から身を守るために強いにおいのある液体を出すことです。この液体は、腹部にある臭腺という器官から分泌されます。人間にとっては不快なにおいに感じられることが多いため、「臭い虫」として知られています。ただし、すべてのカメムシが同じ強さのにおいを出すわけではありません。また、種類によっては、においが弱いものや、人間がほとんど感じないものもいます。カメムシが発するにおいは、敵を驚かせたり、鳥や小型哺乳類などに食べられにくくしたりするための重要な防御手段です。
カメムシの口は、ストローのように細長く伸びた形をしています。この口を植物の茎、葉、果実、種子などに刺し、内部の液を吸って生活します。多くの種類は植物を食べますが、すべてが農作物の害虫というわけではありません。植物を食べる種類の中には、果樹や野菜に被害を与えるものがあります。例えば、リンゴ、ナシ、モモ、カキ、ミカン、大豆、コメなどを吸汁する種類が知られています。果実を吸われると、表面にへこみや変色が生じたり、果肉の形が崩れたりすることがあります。幼い果実が被害を受けた場合には、成長が止まったり、奇形になったりすることもあります。
一方で、カメムシにはほかの昆虫を捕食する種類もいます。サシガメの仲間などは、細長い口を使ってイモムシ、アブラムシ、ハムシなどを捕まえ、体液を吸います。このような種類は、農作物を食べる害虫を減らすため、農業上役に立つ場合があります。そのため、「カメムシ」という名前だけで、すべての種類を害虫と判断することは適切ではありません。植物を食べる種類、昆虫を食べる種類、落ち葉や樹液を利用する種類など、食性は非常に多様です。
カメムシは、卵、幼虫、成虫という成長段階を経て発育します。チョウやハエのように、さなぎになる完全変態ではありません。カメムシの幼虫は、成虫と似た形をしていますが、翅が十分に発達しておらず、体の色や模様も異なることがあります。幼虫は脱皮を何度か繰り返し、成虫になります。種類によっては、卵を葉の裏や枝に規則正しく並べて産み付けます。卵の形や並び方は種類を見分ける手がかりになります。
秋になると、多くのカメムシは冬を越す場所を探します。家屋の壁、屋根裏、窓枠、物置、樹皮のすき間などに入り込み、集団で越冬することがあります。日当たりのよい外壁に大量に集まっていることもあります。気温が上がる春や、暖房によって室内が暖かくなった冬には、越冬していたカメムシが動き出し、部屋の中に現れることがあります。カメムシは飛ぶ力を持っているため、窓や玄関から侵入することもあります。
カメムシを見つけたときに、強くたたいたり、掃除機で勢いよく吸い込んだりすると、においが広がることがあります。室内では、紙や厚紙を使ってそっと容器に移し、屋外へ逃がす方法が比較的安全です。侵入を防ぐには、網戸や窓枠のすき間を点検し、必要に応じて目の細かい網やすき間テープを使います。洗濯物に付着して室内へ入ることもあるため、取り込む前に衣類を確認するとよいでしょう。大量発生している場合や農作物への被害が大きい場合には、地域の病害虫防除所、農業改良普及センター、自治体などに相談することが適切です。
カメムシは、人間にとって不快な害虫として扱われることがありますが、自然界では重要な役割も担っています。植物を食べるカメムシは、食物連鎖の一部となり、鳥やクモ、カマキリなどの餌になります。捕食性のカメムシは、ほかの昆虫の個体数を調整します。また、種類ごとに利用する植物や生息環境が異なるため、生物多様性を知る手がかりにもなります。したがって、カメムシを理解するためには、悪臭や農業被害だけでなく、生態系の中で果たしている役割も含めて考える必要があります。
## カメムシの主な特徴
1. カメムシは、主にカメムシ目に属する昆虫の総称です。 2. 外敵から身を守るため、腹部の臭腺から独特のにおいを出します。 3. 口器は針のように細長く、植物の汁や昆虫の体液を吸います。 4. 植物を食べる種類と、ほかの昆虫を捕食する種類が存在します。 5. 卵、幼虫、成虫の順に成長し、さなぎの段階はありません。 6. 幼虫は成虫に似た形をしていますが、通常は翅が未発達です。 7. 秋や冬には、家屋、樹皮、落ち葉、物置などで越冬することがあります。 8. 春から秋にかけて活動が盛んになり、種類によっては農作物に被害を与えます。 9. 果樹や豆類などを吸汁すると、果実の変形、変色、品質低下が起こることがあります。 10. サシガメ類などの捕食性の種類は、農業害虫を捕食する場合があります。 11. 体の色には緑色、茶色、黒色、赤色などがあり、模様も種類によって異なります。 12. においの強さや成分は種類によって異なり、すべてのカメムシが強い悪臭を出すわけではありません。 13. 侵入防止には、窓や網戸のすき間をふさぎ、洗濯物を取り込む前に確認することが有効です。 14. 室内で処理するときは、つぶしたり強く刺激したりせず、紙や容器を使って移動させる方法が適しています。
## 参考資料
1. 農林水産省「病害虫防除に関する情報」 https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/gaicyu/
2. 農研機構(NARO) https://www.naro.go.jp/
3. 国立環境研究所「侵入生物データベース」 https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/
4. 環境省「生物多様性情報システム」 https://www.biodic.go.jp/
5. いきものログ(環境省) https://ikilog.biodic.go.jp/
6. 日本昆虫学会 https://www.entsoc.jp/
7. 国立科学博物館 https://www.kahaku.go.jp/
8. 岡山大学資源植物科学研究所「植物病害虫・農業害虫に関する研究情報」 https://www.rib.okayama-u.ac.jp/
