# サンラグ式とは

サンラグ式とは、比例代表制において、各政党に議席を配分するために用いられる計算方法の一つです。英語では「Sainte-Laguë method」と表記され、日本語では「サン=ラグ方式」、「サン・ラグエ方式」などと呼ばれることもあります。この方法は、政党が獲得した得票数を一定の数で割り、その結果として得られる商を比較することによって、議席を順番に配分します。

サンラグ式で使用される割り算の数は、通常、「1、3、5、7、9……」という奇数の列です。各政党の得票数をこの数列で割り、得られた商をすべて大きい順に並べます。そして、選挙で配分される議席数に達するまで、最も大きな商に対応する政党へ1議席ずつ与えます。ある政党の商が何度も上位に入れば、その政党は複数の議席を獲得します。

例えば、政党Aが10万票、政党Bが8万票、政党Cが3万票を獲得し、合計7議席を配分する場合を考えます。政党Aの商は、10万、約3万3333、2万、約1万4286となります。政党Bの商は、8万、約2万6667、1万6000となります。政党Cの商は、3万、1万、6000となります。これらの商を大きい順に並べ、上位7個を選ぶことで、各政党の議席数が決まります。この例では、政党Aが3議席、政党Bが3議席、政党Cが1議席を獲得します。

サンラグ式は、政党の得票数に比較的比例した議席配分を実現しやすい方法だと評価されています。特に、ドント式と比較すると、最大政党に議席が集中する傾向がやや弱く、中小政党にも議席が配分されやすいという特徴があります。ドント式では、得票数を「1、2、3、4……」で割ります。最初の除数が1であり、その後の増加幅が小さいため、得票数の多い政党が有利になりやすい傾向があります。一方、サンラグ式では除数が「1、3、5、7……」と増えるため、同じ政党に2議席目、3議席目を与える際の商がより大きく下がります。その結果、他の政党が議席を得る機会が相対的に広がります。

ただし、サンラグ式を採用すれば、必ず小政党に有利になるわけではありません。選挙区の議席数、最低得票率の規定、阻止条項、名簿の仕組み、全国集計か地域集計かといった制度全体の設計によって結果は変わります。例えば、得票率が5%未満の政党を議席配分から除外する制度が併用される場合、サンラグ式そのものは比例的であっても、非常に小さな政党は議席を得られません。

また、サンラグ式には「修正サンラグ式」と呼ばれる方式もあります。修正サンラグ式では、最初の除数だけを1ではなく1.4などに設定し、その後は3、5、7……を使用します。最初の除数を大きくすることで、極めて小規模な政党が最初の議席を獲得することをやや難しくし、一定規模以上の政党に少し有利な配分を実現します。したがって、通常のサンラグ式と修正サンラグ式は似ていますが、結果が完全に同じになるとは限りません。

サンラグ式は、計算方法が明確で、得票数と議席数の関係を説明しやすい点にも利点があります。一方で、割り算の結果が同じになる場合には、どの政党に議席を与えるかを決めるタイブレーク規則が必要になります。また、議席数が少ない場合には、わずかな得票差によって議席配分が変わる可能性があります。そのため、サンラグ式を評価するときには、計算方式だけでなく、選挙区の大きさ、政党名簿、最低得票率、重複立候補、残余議席の扱いなども併せて確認する必要があります。

現在または過去の制度では、ドイツの連邦議会選挙、スウェーデンの国政選挙、ノルウェーの一部の議席配分などで、サンラグ式または修正サンラグ式に関連する仕組みが用いられています。ただし、各国の制度はそれぞれ異なり、すべてが同じ計算手順を採用しているわけではありません。したがって、「サンラグ式を採用している国」と表現する場合には、通常方式なのか修正方式なのか、比例代表部分のどこで使われるのかを確認することが重要です。

## サンラグ式の主な特徴

– サンラグ式は、政党の得票数を「1、3、5、7、9……」という奇数で割って得られる商を比較する方式です。 – 得られた商を大きい順に並べ、上位の商から順番に議席を配分します。 – 得票数の多い政党だけに議席が集中することを抑え、比較的小さな政党にも議席を配分しやすい傾向があります。 – ドント式と同じく、比例代表制で広く説明される除数方式の一つです。 – ドント式よりも、一般に議席配分の比例性が高くなりやすいと考えられています。 – 最初の除数を1.4などに変更したものは、修正サンラグ式と呼ばれます。 – 修正サンラグ式では、非常に小さな政党が最初の議席を得る可能性を少し抑えられます。 – 最低得票率や阻止条項が併用される場合、一定得票率未満の政党は計算対象から除外されます。 – 同じ大きさの商が発生した場合には、抽選、得票数、残余票などによる優先順位を定める必要があります。 – 配分議席数が少ない選挙では、わずかな得票差によって議席数が変化する可能性があります。 – 選挙区の議席数が多いほど、得票率と議席率の関係は一般に比例的になりやすくなります。 – 計算手順が数式で明確に示せるため、選挙結果を検証しやすい方式です。 – サンラグ式だけで選挙制度全体の比例性が決まるわけではなく、名簿方式や選挙区制度との組み合わせが重要です。

## 参考文献・参考資料

1. Wikipedia日本語版「サン=ラグ方式」 https://ja.wikipedia.org/wiki/サン=ラグ方式

2. ACE Electoral Knowledge Network, “Sainte-Laguë Method” https://aceproject.org/ace-en/topics/es/esd/esd01/esd01a

3. International IDEA, *Electoral System Design: The New International IDEA Handbook* https://www.idea.int/publications/catalogue/electoral-system-design-new-international-idea-handbook

4. International IDEA, Electoral System Design Database https://www.idea.int/data-tools/data/electoral-system-design

5. スウェーデン選挙管理当局(Valmyndigheten) https://www.val.se/

6. ドイツ連邦選挙管理委員会(Die Bundeswahlleiterin) https://www.bundeswahlleiterin.de/

7. ノルウェー選挙管理関連公式サイト https://www.valgdirektoratet.no/

投稿者 wlbhiro

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