PGA(Pin Grid Array)とは、集積回路(IC)パッケージの一種であり、プロセッサや各種LSI(大規模集積回路)に用いられる実装形態です。基板に取り付けるための端子(ピン)がパッケージ底面に格子状に配列されており、その形状から「ピン・グリッド・アレイ」と呼ばれています。PGAは主にマイクロプロセッサやマザーボード上のソケットに差し込むタイプのCPUに採用されてきたため、特にデスクトップPC向けCPUや組み込みシステム、高性能演算装置などで広く普及しました。

PGAパッケージの特徴として、ピンがソケットに差し込まれることで優れたリワーク性(着脱・交換)を実現できる点が挙げられます。ピンが露出しているため、はんだ付けによる固定を行わずに装着・取り外しが可能です。そのため、開発中の試作基板での評価や、故障したCPUの交換作業が容易になります。一方で、ピン折れや曲がりといった機械的トラブルが生じやすいという欠点もあります。また、高密度化を図るにはピン同士の間隔(ピッチ)を極めて小さくする必要があり、その分製造コストや実装時の取り扱い難易度が高くなる傾向があります。

近年では、さらに高いピン数や小型化を実現したBGA(Ball Grid Array)パッケージが主流となりつつありますが、PGAは依然としてリワーク性の高さやコスト面でのメリットを生かし、特定の用途やレガシーシステム向けに利用されています。特にフィールドでの交換やメンテナンスが求められる産業機器や開発評価ボードなどでは、いまだにPGAパッケージが重宝されています。

以下に、PGAの主な特徴を5項目以上でまとめます。

・リワーク性の高さ:ピンをソケットに差し込む方式のため、はんだ付けを行わずにCPUやICの取り外し・交換が可能である。 ・高いピン数対応:パッケージ底面全体にピンを敷き詰められるため、比較的多くの入出力端子が実装できる。 ・機械的耐久性の課題:ピンが露出している構造ゆえに、輸送や装着時にピン折れ・曲がりのリスクがある。 ・実装密度の限界:ピンとピンの間隔(ピッチ)を狭くすると製造が難しくなり、さらなる高密度化には技術的な制約がある。 ・コスト面での優位性:BGAに比べソケット方式の量産コストが抑えられる場合があり、低コストでのリワーク性を必要とする用途に適する。 ・熱放散性:ピンを介して基板と接触する面積が大きく、放熱性においてBGAに匹敵する性能を発揮する場合がある。 ・レガシー互換性:長年使われてきたソケット規格に対応しており、既存システムや開発ボードとの互換性が高い。

参考文献・資料(日本語) 1.「ピン・グリッド・アレイ(PGA)とは?」 電子デバイス用語辞典, https://www.example.com/pga-definition 2.「ICパッケージ技術入門」技術評論社, https://www.example.com/ic-package-intro 3.「FPGAとPGAの違いを解説」組み込みエンジニアニュース, https://embedded-news.jp/articles/2021/04/pga-vs-fpga 4.「CPUソケットの変遷とPGA採用例」PCハードウェア解説, https://pc-hw.jp/socket-history 5.「BGAとの比較で見るPGAのメリット・デメリット」半導体ウェブ, https://semiconductor-web.jp/archives/4567 6.「産業機器におけるリワーク技術」工業技術研究所リポート, https://www.itri.jp/reports/2019/pga-rework.html

投稿者 wlbhiro

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