カル・ローリーとは、食品や物質に含まれるエネルギー量を示す熱量の単位です。一般には「カロリー」と呼ばれ、ダイエットや栄養管理の際に日常的に用いられますが、厳密には物理学の分野で「cal(小文字カロリー)」および「kcal(キロカロリー、大文字Calとも表記)」という単位体系の一部として定義されています。以下では、カロリーの歴史的背景、定義、換算関係、栄養学的意義、測定方法などを含め、総合的に解説します。
1. 歴史と定義 カロリーは19世紀にフランスの物理学者ニコラ・クレモンが提案した熱量の単位で、1グラムの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量を1 cal と定義しました。その後、より大きな単位として1 kcal=1,000 cal(摂氏水1㎏を1℃上げる熱量)が一般に食品のエネルギー表示に用いられるようになり、日本国内でも「100 kcal」「200 kcal」という形でパッケージ表示が義務付けられています。
2. SI(国際単位系)との関係 SIでは熱量の単位はジュール(J)です。1 cal は約4.184 J に相当し、逆に1 J は約0.239 cal と換算されます。したがって、食品表示に使われる1 kcal は約4.184 kJ(キロジュール、1 kJ=1,000 J)です。
3. 栄養学的意義 人体は摂取した食品中の炭水化物、脂質、タンパク質を酸化(燃焼)させ、その熱量を生命活動のエネルギー源として利用します。例えば、1 g の炭水化物やタンパク質は約4 kcal、1 g の脂質は約9 kcal のエネルギーを生み出します。日々の基礎代謝量や身体活動量を合わせた総エネルギー必要量を把握し、過不足なくカロリーを摂取することが健康維持や体重管理の基本となります。
4. 測定方法 食品中のカロリーはボンベ式熱量計(ボンブカロリーメーター)や近年は推定計算法を用いて算出されます。前者は食品を酸素雰囲気下で完全燃焼させ、そのとき発生した熱量を精密に測定します。後者は食品成分表から各栄養素の量を取得し、上記の係数(炭水化物4 kcal/g、脂質9 kcal/g、たんぱく質4 kcal/g)を用いて計算します。
5. 用途と注意点 カロリーはダイエットやスポーツ栄養学、給食管理、食品開発など多岐にわたる分野で活用されます。しかし、単にカロリーだけを追い求めると、ビタミンやミネラルといった「栄養素の質」を見落としがちです。健康的な食生活では、エネルギー量だけでなく、食材の栄養バランスにも配慮が必要です。
特徴(主なポイント) ・エネルギー単位:1 g の水を1℃上げる熱量=1 cal ・栄養素別エネルギー:炭水化物4 kcal/g、脂質9 kcal/g、たんぱく質4 kcal/g ・SI単位系換算:1 cal ≒ 4.184 J、1 kcal ≒ 4.184 kJ ・測定法:燃焼測定(ボンベ式熱量計)および推定計算法 ・活用分野:ダイエット管理、スポーツ栄養、給食・給餌計画、食品成分表示 ・注意点:カロリー過多・過少の両極端を避けると同時に、微量栄養素もバランスよく摂取
参考文献・情報源 1. Wikipedia「カロリー」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AD%E3%83%AA%E3%83%BC 2. 農林水産省 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 https://www.maff.go.jp/j/seisan/syokubunka/k_youji/attach/pdf/index-120.pdf 3. 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)概要」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08542.html 4. 日本栄養・食糧学会「食品エネルギー換算表」 https://www.jsnfs.or.jp/medical/energy.html 5. WHO(世界保健機関)「Healthy diet」 https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/healthy-diet 6. 日本食品分析センター「熱量測定法(ボンベ式熱量計法)」 https://www.jfrl.or.jp/standard/analysis_method/heat_method.html