ジョージア(正式名称:ジョージア共和国)は、ヨーロッパとアジアの接点に位置するコーカサス地方の国です。南コーカサスに広がる山岳地帯と黒海に面した海岸線を持ち、東西約600キロメートル、南北約300キロメートルにおよぶ領土を有しています。東はアゼルバイジャン、西はトルコとアルメニア、北はロシアと国境を共有し、地勢的には古くから交易路や文化の交差点として重要な役割を果たしてきました。
歴史的には、紀元前4千年紀にまでさかのぼる定住の痕跡が発見されており、伝統的に「イベリア王国」「コルキス王国」といった王国が存在しました。キリスト教化は紀元4世紀頃から始まり、東方正教会の伝統を色濃く残す国家となりました。19世紀から20世紀初頭にかけてはロシア帝国の支配下におかれ、1918年に短期間ながら独立共和国を宣言しました。しかし1921年にソビエト連邦に併合され、1991年のソ連崩壊とともに再び独立を回復しました。
首都トビリシは、多様な歴史的建築と近代的都市機能が融和する都市で、旧市街の石畳の路地や温泉地帯、ナリカラ要塞をはじめとする名所旧跡が点在しています。また、ジョージアはワイン発祥の地のひとつとされ、紀元前6千年紀にまでさかのぼるワイン醸造の伝統を誇ります。独特の粘土製大型壺「クヴェヴリ」を用いた自然発酵ワインは、国際的にも注目を集めています。
文化面では、コーカサス音楽やダンス、伝統的な絹織物や刺繍、手工芸品など多彩な民族芸能・工芸が継承されています。詩人シャルダリゼや作家サムシヴィレリの作品、歌唱形式であるポリフォニー(多声音楽)は2014年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。食文化は豊富な野菜やハーブ、チーズ、肉料理を中心とし、「ハチャプリ(チーズパン)」や「ヒンカリ(ダンプリング)」などが代表的な郷土料理です。
政治体制は議会制民主主義で、元首は大統領、行政の長は首相です。EUやNATOへの加盟を志向し、国内の経済改革やインフラ整備に邁進しています。しかし、北部の南オセチアや南部のアブハジアといった実効支配地域を巡るロシアとの緊張関係が続いており、外交的・軍事的リスクが存在しています。
経済面では農業、ワイン生産、観光が主要セクターで、近年はIT産業や物流ハブとしての発展も期待されています。年間300万人を超える観光客が訪れ、トビリシや黒海沿岸のバトゥミ、洞窟都市ウプリスツィヘなどが人気を博しています。
ジョージアはその地理的、歴史的背景から「東西文化の交差点」と呼ばれ、多様な民族・宗教が共存してきた独自の文化圏を形成しています。豊かな自然景観、古代からの歴史遺産、個性的な食文化、ワイン文化は国際的にも高く評価されており、今後の発展が期待される国といえるでしょう。
【主な特徴(Feature)】 1. 地理的多様性:コーカサス山脈から黒海沿岸まで多様な地形を有する。 2. 古代からのワイン文化:紀元前6千年紀発祥のワイン醸造技術とクヴェヴリ製法。 3. 歴史的遺産:トビリシ旧市街、ウプリスツィヘ洞窟都市、スヴェティツホヴェリ大聖堂など。 4. 民族音楽とポリフォニー:多声音楽がユネスコ無形文化遺産に登録。 5. 政治・安全保障:EU・NATO志向とロシアとの南オセチア・アブハジアを巡る緊張。 6. 食文化:ハチャプリ、ヒンカリ、チャツプルリなど多彩な郷土料理。 7. 観光資源:バトゥミのビーチリゾート、カフカス山脈のトレッキングコース。
【参考文献・サイト】 1. ジョージア共和国政府観光局 公式サイト https://georgia.travel/ja 2. 外務省「ジョージア共和国(グルジア)」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/georgia/index.html 3. Wikipedia「ジョージア (国)」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%A2_(%E5%9B%BD) 4. ユネスコ無形文化遺産: グルジアのポリフォニー(複声歌曲) https://ich.unesco.org/ja/RL/georgian-polyphony-multi-voiced-singing-01033 5. 外務省「二国間関係(ジョージア)」(外交関係概要) https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/georgia/data.html 6. トリップアドバイザー「ジョージア観光ガイド」 https://www.tripadvisor.jp/Tourism-g294195-Georgia-Vacations.html
