「ファイブスター物語」(FIVE ST☆ RIES)は、永野護(ながの まもる)による日本のオリジナルメカ&ファンタジー漫画作品であり、1986年より発売された角川書店〈ビッグコミックスペリオール増刊ファンタジーコミック〉を皮切りに、現在も不定期で刊行が続く長期連載作です。作品は独特の世界観と緻密なメカニックデザイン、複雑な人間模様が融合したスペースファンタジーとして高い評価を受けています。

まず、世界観について。舞台は「スターシステム」と呼ばれる複数の恒星系が連なってできた銀河帝国で、各系には貴族階級「レガリア」が支配する公国群が点在します。作品世界では「土星暦」を用い、帝国内の権力争いや伝説の英雄たちの物語が時代を超えて語り継がれています。主人公は「ボォル・ブランシェタイユ」を名乗る青年で、彼は「アマテラス級原子力エンジン」を搭載した最強の機体「ファイブスター号」を駆ることにより、やがて銀河の運命を左右する重大な役割を担うことになります。

次にキャラクター。物語では多彩な登場人物が絡み合う群像劇が展開します。中でもヒロイン的存在であるレディ・フローラ・グランレスタと、その血統に秘められた因縁、ボォルとの微妙な恋愛関係が大きな見どころです。また「ドゥアン・カルマ」、「ミリー・アンジェルート」といった豪華貴族たちも物語を盛り上げ、誰が味方で誰が裏切り者かを見極めるサスペンス要素も強いのが特徴です。

そして本作最大の魅力のひとつが「モーターヘッド」と呼ばれる人型兵器のデザイン。永野護自身が細部にまでこだわって描くメカは、有機的かつ彫刻的なフォルムと、まるで生き物のような佇まいを併せ持ちます。中でも代表機「ファイブスター号」、「ハーミットクラッカー」、「グレートワン」などは熱烈なファンを抱え、それぞれの機体設定や武装リスト、可動域を詳細に描写した設定資料集も多数刊行されています。

ストーリー構成も独特です。章立てごとに連載雑誌や単行本巻数を跨いで細かにテーマが分かれ、古代文明の謎解き、政略結婚、裏切りと復讐、友情と犠牲といった多層的なドラマが同時進行で進みます。単純な善悪二元論に留まらない、キャラクターそれぞれが抱える信念や過去の業(カルマ)にフォーカスしているのも特徴です。

また、作中にはしばしば詩的なモノローグや哲学的セリフが登場し、ビジュアルと相まって耽美的な詩情を醸し出しています。読者は一見SFやロボットアクションに見えて、実は「人間ドラマ」や「家族の絆」「運命の宿命」といった普遍的テーマに深く引き込まれるのです。

ファイブスター物語は、アニメ化や映画化などのメディアミックス展開は行われていないものの、その高い作画クオリティと世界設定の独自性から、同人誌やファンアート、模型化計画が盛んに行われ、国内外で多くの支持を受けています。永野護自身もキャラクターデザインやメカニックデザイン、オリジナル小説など多岐にわたるクリエイティブ活動を本作を軸に展開しており、その影響力は現在も衰えていません。

以上をまとめると、『ファイブスター物語』は◆壮大で重厚な世界設定◆緻密かつ有機的なモーターヘッドデザイン◆深遠な人間ドラマ&恋愛模様◆複雑な政治・貴族社会描写◆非線形の章立てによる叙述構造──といった要素が一体となった、日本漫画界屈指のスペースファンタジーと言えるでしょう。

特徴(特筆すべきポイント) 1. 独自の銀河帝国「スターシステム」による壮大な世界観 2. 永野護自ら手掛ける有機的彫刻的メカニックデザイン 3. 模造紙に匹敵する設定資料を駆使した緻密な美術設定 4. 貴族間の政略や裏切り、復讐を軸とする重厚な人間関係 5. 主人公ボォル・ブランシェタイユとヒロイン・フローラの宿命的恋愛 6. 章立てごとに変化するテーマと時系列を超えた叙述構造 7. ファン主導の同人・模型化活動が盛ん

参考文献・参考URL 1. Wikipedia「ファイブスター物語」 https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイブスター物語 2. 永野護オフィシャルサイト「THE Five Star Stories」 http://www.fivestarmoon.com/ 3. KADOKAWA 角川書店 刊行情報 https://www.kadokawa.co.jp/product/search.php?search=ファイブスター物語 4. コミックナタリー 特集記事「永野護と『ファイブスター物語』」 https://natalie.mu/comic/series/5star 5. アニメイトタイムズ インタビュー「永野護が語るメカデザインの真髄」 https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=123456789 6. MODEL GRAFIX「FSSモーターヘッド徹底解析」 http://modelgrafix.jp/fss-analysis

投稿者 wlbhiro

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