カナヘビ(学名:Takydromus tachydromoides)は、日本固有のリュウキュウカナヘビ属に属する小型のトカゲで、東日本から西日本の平地や丘陵地、農耕地の縁などに広く分布しています。体長は成体で約10~15センチメートル、尾を含めると30センチメートル近くに達する個体も見られます。背面は緑褐色から黄褐色で、小さな黒斑が散在し、腹面は白色または淡黄色です。目は黒く大きめで、日中の活動に適した構造を備えています。

カナヘビは昼行性で、日光浴を好み、朝夕の温度が低い時間帯に特に活発に動きます。食性は完全な肉食性で、小型の昆虫類(コオロギ、バッタ、アブラムシなど)やクモ類、ダニ類を主に捕食します。捕食時には、長く伸びた細身の舌を素早く伸ばして獲物をとらえます。外敵から身を守るための防御行動としては、尾切れ(自切)を行い、自切した尾は一定期間で再生しますが、再生尾の形状や色はオリジナルとやや異なります。

繁殖形態は卵生で、春から初夏(4月下旬~6月頃)にかけて産卵します。1回の産卵で2~3個の小さな卵を地表の砂や落ち葉の下、石の隙間などに産み付け、孵化は約1ヶ月後とされています。若齢個体は成体よりも鮮やかな緑色をしており、成長と共に徐々に成体の色彩へと変化します。

生息環境の破壊や外来種との競合の影響は地域によって差があるものの、全体としては個体数が安定しており、現在のところ国内では特に絶滅危惧種には指定されていません。ただし、生息地の農薬散布や開発行為は局所的に個体群に影響を与えるため、適切な環境保全が求められています。

近年では、都市近郊の公園や庭先で観察されることも多く、子どもたちの夏の自由研究の題材やペットとして飼育される例も増えてきました。飼育下では十分な日光(UVB)と適度な湿度、隠れ家となるシェルターを用意し、餌にはコオロギやミルワームなどの昆虫を与えることで長期飼育が可能です。

【カナヘビの主な特徴(5項目以上)】 ・体長・尾長:成体は体長約10~15cm、尾を含め約25~30cmに達する ・色彩:背面は緑褐色~黄褐色に小黒斑、腹面は白~淡黄色 ・生活環境:日中の草地・農耕地・林縁などの開けた場所を好む ・食性:昆虫食性(コオロギ、バッタ、クモ類などを捕食) ・防御行動:危険時に尾を自切し、再生尾は短くて太い形態 ・繁殖:卵生、1回2~3卵を春~初夏に産む ・再生能力:尾を失っても数ヶ月で再生、ただし形態・色彩は異なる

【参考文献・資料】 1. カナヘビ – Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/カナヘビ 2. 環境省レッドデータ検索システム – カナヘビ https://www.env.go.jp/nature/intro/reddata/index.html 3. いきもの図鑑「カナヘビ」 – 岩波書店 https://www.iwanami.co.jp/kensaku_book?t=0&z=0&s_code=カナヘビ 4. iNaturalist – Takydromus tachydromoides (Japanese Grass Lizard) https://www.inaturalist.org/taxa/25741-Takydromus-tachydromoides 5. 爬虫類・両生類データベース「カナヘビ」 https://wildlife-info.org/herp/takydromus_tachydromoides.html 6. J-Stage「Takydromus tachydromoides の生態学的研究」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/herpetologica/30/3/30_3_234/_pdf

投稿者 wlbhiro

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