高速電波バースト(Fast Radio Burst;FRB)は、宇宙空間から突発的に観測される強力な電波パルスであり、その起源や発生機構は未解明のまま多くの天文学者を魅了しています。以下に、FRBについて500語以上の日本語で詳述し、続いて特徴をリスト形式でまとめ、最後に参考文献を挙げます。

【FRBとは何か】 FRBは2007年にオーストラリアのパルサー探査データ中から初めて発見され、その後、世界中の電波望遠鏡によって数百例が報告されています。一般に、数ミリ秒から数十ミリ秒程度の短い時間内に数十~数百Jy(ヤンキー電波強度単位)の非常に強い電波を放射する現象です。電波パルスの到来時間や周波数に応じて、データを解析するとパルスが周波数依存的に散乱・遅延していることが分かり、これによってそれらが銀河系外起源である可能性が高いと示唆されました。

【発見の経緯と観測状況】 FRBの第1例は、パークス電波望遠鏡(オーストラリア)で観測された「Lorimer Burst」と呼ばれるパルスで、約5ミリ秒の持続時間、1.3GHz帯で強度約30Jyを記録しました。その後、Arecibo、CHIME、ASKAP、FASTなど全世界の大型電波望遠鏡網がFRB探索に乗り出し、定常的に新たなFRB検出数を増加させています。特に中国のFAST(500m口径電波望遠鏡)は感度の高さを活かし、発生頻度の低い微弱FRBの検出にも成功しています。

【起源と機構に関する仮説】 FRBの起源に関しては、マグネター(超新星残骸の一種である磁気を帯びた中性子星)や中性子星合体、ブラックホール周辺のプラズマ運動、高エネルギー天体ジェットなど、数多くの仮説が提唱されています。特にマグネター説は、強力な磁場歪みによって一瞬で膨大なエネルギーを放出するモデルで、X線バーストとの同時観測も報告されており、最有力候補の一つです。しかしながら、すべてのFRBを単一のモデルで説明するのは困難で、複数の種類・発生プロセスが存在する可能性も指摘されています。

【天文学的意義と応用】 FRBは宇宙マッピングの新たなツールとしても注目されています。遠方のFRB信号に伴う電波の散乱・遅延(ディスパージョン)を計測することで、宇宙の電子分布やダークマターの分布に関する情報を得ることが可能です。また、時空の性質や宇宙論パラメータの制約にも寄与し得るため、「宇宙の標準定規」としての利用も期待されています。

【将来の展望】 今後、より高感度かつ広帯域で全天観測を継続できる電波望遠鏡群(Square Kilometre Array:SKAなど)の稼働が待たれています。それにより数万以上のFRBが検出され、その発生環境の多様性や時間的変動、さらには宇宙進化との関連性が明らかになると期待されています。FRB研究は天文学のみならず高エネルギー物理や宇宙論研究にも大きなインパクトを与える、まさに次世代の宇宙観測分野です。

投稿者 wlbhiro

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