ベネズエラ(正式名称:ボリバル共和国ベネズエラ)は、南アメリカ大陸の北部に位置し、カリブ海に面する連邦共和国です。国土面積は約91万km²で、南アメリカ大陸ではブラジル、アルゼンチン、ペルー、コロンビアに次ぐ広さを誇ります。西はコロンビア、南東はブラジル、東はガイアナと国境を接し、北方には多数のカリブ海の島々を臨みます。首都はカラカス(Caracas)で、公用語はスペイン語、通貨はベネズエラ・ボリバル(Venezuelan bolívar)です。

歴史的には16世紀初頭にスペインの植民地支配を受け、1821年にシモン・ボリバル率いる独立戦争を経て「大コロンビア共和国」の一部となりました。1830年に大コロンビアが解体されて単独の共和国として成立し、その後もヨーロッパやアメリカの資本が流入して発展を遂げました。20世紀前半には石油産業が急速に発展し、1940~1970年代には中南米有数の富裕国として評価されました。

しかし21世紀に入ると、政治的対立や高インフレ、国営化政策の失敗、産油低迷、国際制裁などが相まって深刻な経済・社会危機に陥りました。特に2014年以降の原油価格下落は財政収入を著しく減少させ、通貨の急落・ハイパーインフレを招きました。これに対し野党勢力と与党勢力(チャベス派、マドゥロ政権)の対立が激化し、2019年には国家元首の正統性を巡る混乱が国際的な注目を集めました。結果として多くの国民が生活苦から国外へ避難し、難民・移民危機を引き起こしています。

地理的にはアンデス山脈の北端から広大なオリノコ川流域、ロス・リャノス(熱帯草原地帯)、カナイマ国立公園のエンジェルフォール(世界最高の落差を誇る滝)まで多様な自然環境が揃っています。熱帯雨林やサバンナ帯、乾燥地域も抱え、生物多様性は非常に豊かです。一方、犯罪率の高さや治安悪化は深刻な社会問題であり、都市部を中心に強盗や誘拐、暴力事件が多発しています。

文化面では、スペイン植民地時代の混血文化(メスティーソ文化)、先住民文化、アフリカ系文化が融合し、音楽ではホローポやクンビア、料理ではアレパ(トウモロコシのパンケーキ)やパベジョン、パスクアイト(甘いチーズケーキ)など独特の郷土料理が発展しました。スポーツでは野球が非常に人気で、多数のメジャーリーグ選手を輩出しています。

【主な特徴】 1. 多様な地形と豊富な自然資源 2. 世界最大級の石油埋蔵量を背景とした産油国 3. シモン・ボリバルに象徴される独立と自由の歴史 4. 政治的・経済的混乱による社会危機と大量移民 5. 熱帯雨林から熱帯草原、世界最高のエンジェルフォールまで広がる生物多様性 6. スペイン語圏独特の文学・音楽・料理文化

【参考文献】 1. 外務省「ベネズエラ共和国基礎データ」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/venezuela/data.html 2. CIA World Factbook “Venezuela” https://www.cia.gov/the-world-factbook/countries/venezuela/ 3. United Nations “Venezuela Situation” https://www.un.org/press/en/Venezuela 4. Wikipedia「ベネズエラ」 https://ja.wikipedia.org/wiki/ベネズエラ 5. 国際通貨基金(IMF)“Venezuela and the IMF” https://www.imf.org/ja/Countries/VEN 6. 世界銀行 “Venezuela Overview” https://www.worldbank.org/ja/country/venezuela

投稿者 wlbhiro

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