インフルエンザ(流行性感冒)は、インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性呼吸器感染症です。毎年冬季を中心に世界中で流行し、季節性インフルエンザとして多数の患者と数千~数万人規模の死亡例をもたらします。主要な病原体はインフルエンザA型・B型ウイルスで、まれにC型もヒトに感染します。A型は亜型(H1N1、H3N2など)が存在し、しばしば流行規模が大きく、パンデミックを引き起こすこともあります。B型はヒトに特有で、流行規模はやや小さいものの学齢期の子どもに多く感染します。

インフルエンザの主な症状には、急な高熱(38~40℃)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛、のどの痛み、咳、鼻汁などがあり、場合によっては消化器症状(嘔吐・下痢)を伴うこともあります。発症後1~2日は症状が最も重く、抗ウイルス薬(オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビルなど)による治療が推奨されます。治療開始は発症から48時間以内が有効期限とされ、早期投与により症状の緩和や合併症予防に有用です。

インフルエンザは飛沫感染および接触感染によって広がります。感染者が咳やくしゃみをした際の飛沫を吸い込むほか、ウイルスが付着した手や物品を介して粘膜に触れることで感染が成立します。そのため、予防にはマスクの着用、手洗い・手指消毒、適切な換気が重要です。また、毎年流行前に接種する季節性ワクチン(不活化ワクチン)は、重症化予防と集団発生の抑制に役立ちます。ワクチンの効果は個人差がありますが、高齢者や基礎疾患を持つ人では特に接種が推奨されます。

合併症としては肺炎(ウイルス性・細菌性)、急性脳症、心筋炎・心膜炎、筋炎などがあり、特に高齢者や小児、妊婦、免疫抑制状態の患者では重篤化リスクが高まります。過去には1918年のスペインかぜ(H1N1)が世界的パンデミックを引き起こし、5000万人以上の死者を出したと推定されています。

最近では、新型インフルエンザ(H5N1、H7N9などの鳥インフルエンザウイルスによる人獣共通感染症)への警戒も強まっており、国際保健機関(WHO)や各国の保健当局がサーベイランスとワクチン研究に力を入れています。今後も流行の監視、ワクチンや治療薬の開発、適切な感染対策の継続が不可欠です。

―――――――――――――――――――― インフルエンザの主な特徴(5項目以上) 1. 病原体:インフルエンザウイルスA型・B型(C型は稀)による急性呼吸器感染症 2. 伝播様式:飛沫感染および接触感染 3. 主要症状:急激な高熱、全身倦怠感、頭痛、筋肉痛、咳、喉の痛みなど 4. 潜伏期間:1~3日程度 5. 治療法:抗ウイルス薬(オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビル等)、対症療法 6. 予防法:ワクチン接種、マスク着用、手洗い・手指消毒、換気 7. 合併症:ウイルス性・細菌性肺炎、急性脳症、心筋炎、筋炎など 8. 流行時期:主に冬季(日本では12月~翌3月)、南北半球で季節が逆転

―――――――――――――――――――― 参考文献(日本語) 1. 厚生労働省「インフルエンザQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000789523.pdf 2. 国立感染症研究所「インフルエンザWeekly」 https://www.niid.go.jp/niid/ja/influenza-e/flu-ias.html 3. 日本感染症学会「インフルエンザ診療ガイドライン」 https://www.kansensho.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=11 4. WHO(世界保健機関)「Influenza (Seasonal)」日本語ページ https://www.who.int/ja/news-room/fact-sheets/detail/influenza-(seasonal) 5. 国立国際医療研究センター「インフルエンザの最新動向」 https://www.ncgm.go.jp/cic/zaidan/influenza/ 6. 国立感染症研究所「インフルエンザ抗原検出キット」 https://www.niid.go.jp/niid/ja/lab-vol2/836-idsc/iasr-influenza.html

投稿者 wlbhiro

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