エジプトとは?
エジプト(アラビア語:مصر[ミスル])は、アフリカ大陸の北東部およびアジア大陸(シナイ半島)にまたがる国家です。北は地中海、東は紅海、南はスーダン、西はリビアと国境を接し、東北端でイスラエルとガザ地区に隣接しています。首都はカイロで、人口は約1億人とアフリカではナイジェリアに次ぐ規模を誇ります。国土の大半は乾燥した砂漠地帯ですが、ナイル川流域は古くから農耕文明の中心地として発展してきました。
長い歴史をもつエジプトは、紀元前3000年頃に古王国時代として統一国家が誕生し、ピラミッド建設やヒエログリフ(象形文字)の発明などで知られます。中王国~新王国時代にはファラオ(王)による強大な国家権力が確立し、トトメス3世やラムセス2世などの偉大な君主が領土を拡大しました。その後、アレクサンドロス大王の征服を経てプトレマイオス朝が成立。クレオパトラ7世の時代にローマ帝国の属州となりました。
独立は第一次世界大戦後のイギリス保護領時代を経て、1952年の革命で王政が廃止され共和国化。ガマール・アブドゥル=ナーセル大統領のもとでスエズ運河国有化が宣言され、1956年のスエズ危機を引き起こしました。以後、アラブ社会主義や汎アラブ主義の旗手とされながら、セダット大統領による市場開放政策(インフィラート)を経て、現在はアブドゥルファッターフ・シーシ大統領が強い統治を続けています。
経済は観光業、石油・天然ガス、綿花・綿製品、観光関連サービスが柱です。しかし近年は政情不安やパンデミックの影響で観光収入が減少し、財政・外貨不足が深刻化。2022年以降はIMF(国際通貨基金)と協調し、財政改革や投資促進策をすすめています。一方で新首都建設やナイル・デルタ再整備、再生可能エネルギープロジェクトなど多様なインフラ整備が進行中です。
文化面では、コプト正教会やイスラム建築が混在し、カイロのムハンマド・アリー・モスクやルクソール神殿など世界遺産が多数存在します。食文化ではクスクスやコシャリ、ファラフェル(タヒーナ添えの揚げ豆団子)など、スパイスの効いた家庭料理が親しまれています。音楽ではウードやダラブッカが用いられ、モハメド・アブデル=ワッハーブらの名歌手が知られます。
社会課題としては、人口増加による都市部の過密、教育や医療への投資不足、貧困層と富裕層の格差が指摘されています。ナイル川の上流国・エチオピアのダム建設問題は、水資源配分を巡る地域紛争の火種ともなっています。外交面では、パレスチナ問題や中東和平、アフリカ諸国との経済連携を重視し、アラブ連盟や非同盟諸国運動、アフリカ連合にも加盟しています。
エジプトは古代文明の発祥地であると同時に、中東・アフリカをつなぐ要衝です。高い文化的魅力と豊富な天然資源を有しつつも、現代的な社会・経済改革に挑む多面的な国家と言えるでしょう。
エジプトの特徴 ・地理的要衝:アフリカとアジアを結ぶシナイ半島を含む位置にある。 ・歴史的遺産:ギザのピラミッド群、ルクソール神殿、アブ・シンベル神殿など世界遺産が豊富。 ・ナイル文明:ナイル川の定期的な氾濫により肥沃なデルタ地帯が形成され、農耕が発展。 ・宗教文化:イスラム教(国家宗教)とコプト正教会が共存し、多様な信仰が混在。 ・経済構造:観光業と石油・天然ガス輸出が外貨獲得の中心。 ・現代課題:都市部の人口過密、失業率上昇、貧富格差、水資源争奪。 ・国際関係:アラブ連盟、アフリカ連合、非同盟運動への積極参加。
参考文献 1. ウィキペディア「エジプト」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B8%E3%83%97%E3%83%88 2. 外務省「エジプト基礎データ」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/egypt/data.html 3. JICA「エジプト概況」 https://www.jica.go.jp/egypt/outline/index.html 4. 在日本国エジプト・アラブ共和国大使館 https://www.mfa.gov.eg/english/Embassies/EgyptianEmbassyTokyo/Pages/default.aspx 5. 世界銀行(World Bank)「エジプト」 https://www.worldbank.org/ja/country/egypt 6. CIA The World Factbook “Egypt” https://www.cia.gov/the-world-factbook/countries/egypt/
