少林寺拳法(しょうりんじけんぽう)は、1947年に宗道臣(そう・どうしん)師範が創始した日本発祥の武道兼自己啓発法です。中国・少林寺拳法や日本古来の武術思想を土台としつつ、「建設的護身術」として実戦的な技法と人間形成を融合させた独自の体系を確立しています。技術面では打撃技(剛法)・投げ技・関節技(柔法)・締め技(関節逆手法)・体当たりや摔技(崩し技)など多彩な動作を備え、護身だけでなく身体のバランス、柔軟性、瞬発力を磨くことが可能です。
精神面では「一つの理想(理想の実現)を達成するために、個人が自己の修練を通じて人格を高め、他者と協力しながら社会に貢献する」という建設的な精神哲学を重視します。具体的には「自他共栄」「不動心」「堅忍不抜」「相互扶助」といった教えを修練過程で学び、単なる体技の上達を超えた自己変革を目指します。
少林寺拳法は現在、国内外に約1,000か所以上の道場を有し、会員数は約15万人にのぼります。日本全国の学校体育での授業採用や国際交流プログラムを通じて、青年層や地域住民への普及に努め、SDGs推進にも貢献しています。また国際少林寺拳法連盟(IKLO)には10数か国が加盟し、世界大会や国際セミナーを定期的に開催。技術・指導者育成・昇級システムの統一化を図り、武道のグローバルスタンダードを目指しています。
修練は初心者向けの体験クラスから、段位取得を目指す本科コース、さらに師範養成を行う専門コースまで、多層的に構成。稽古では技の練習に加え、相手との「合掌道礼」に始まり、「組演武」での実戦的応用、そして心身の気の流れや呼吸を整えるための「円転小周天法」なども取り入れられます。稽古を通じて得られる身体能力と精神成長は、スポーツや日常生活でのストレス耐性、コミュニケーション能力向上にも寄与します。
少林寺拳法は特定の宗教や政治と一線を画し、「人格完成・人類社会の平和・幸福の実現」という普遍的な価値を掲げるため、年齢・性別・国籍を問わず誰もが取り組める門戸の広さが特徴です。これにより、子どもから高齢者まで幅広い年齢層が相互に尊重しながら学び合うコミュニティが形成されています。
今後は高齢社会や多文化共生時代に向け、武道を通じた健康増進プログラムや国際理解教育の推進をさらに強化。デジタル技術を活用したオンライン指導やAI審査システムの導入にも挑戦し、伝統と革新を両立させながら次世代へと継承していく計画です。
<少林寺拳法の主な特徴> ・総合的護身術:打撃・投げ・関節・締め・崩し技など多彩な技を体系化 ・人間形成の重視:「自他共栄」「堅忍不抜」「相互扶助」などの精神哲学 ・幅広い修練体系:初心者から師範養成まで段階的に整備されたカリキュラム ・国際的普及:国内1,000か所以上、海外10数か国で国際大会やセミナーを開催 ・宗教・政治色の排除:誰もが参加できるオープンな武道・自己啓発法 ・現代社会適応:健康増進プログラムやオンライン指導、AI技術の活用推進
<参考文献・ウェブサイト> 1. 公益社団法人 少林寺拳法連盟公式サイト https://www.shorinjikempo.or.jp/ 2. Wikipedia「少林寺拳法」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%91%E6%9E%97%E5%AF%BA%E6%8B%B3%E6%B3%95 3. 国際少林寺拳法連盟(IKLO) http://www.iklo.org/ 4. 少林寺拳法研究所(技術・哲学研究機関) https://www.shorinjikempo-kenkyujo.jp/ 5. 少林寺拳法ニュース(武道専門誌Web) https://www.budomagazine.jp/shorinjikempo/ 6. 少林寺拳法と健康(スポーツ庁ウェブサイト) https://www.mext.go.jp/sports/budoinfo/shorinjikempo.html
