泊原子力発電所(以下「泊原発」)は、北海道電力株式会社が北海道泊郡泊村大岸に所有・運営する日本唯一の北海道内原子力発電所です。1970年代後半から着工が進められ、1号機は1989年に、2号機は1991年にそれぞれ商業運転を開始しました。3号機は最新鋭の加圧水型炉(PWR)として2009年に稼働し、定格出力は合計で約2,070MWに達します。これは北海道全域の約3割の電力需要を賄う規模で、地域の安定した電力供給に大きく寄与してきました。

しかし、2011年3月の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故以降、原子力規制委員会(NRA)の新規制基準に基づく安全性審査を通過できず、全3基とも運転を停止。1号機と2号機は老朽化と審査コストを理由に2016年に廃炉が決定されました。現在は、3号機の再稼働に向けた審査手続きが進められており、地元泊村議会の同意や周辺自治体の理解を得る取り組みが続いています。

泊原発の立地は日本海沿岸にあり、敷地は高台に位置しています。海水を利用した冷却系統や多重防護の原子炉格納容器、非常用ディーゼル発電機などを備え、耐地震・耐津波性能も強化。事故時には放射性物質を長期間封じ込めるフィルターベント設備や、緊急時の住民避難計画(EPZ:緊急時防護措置計画)も策定されています。しかし、北海道は火山帯や活断層の影響を受けやすい地域であるため、さらなる地震リスク評価や非常用電源の多重化、周辺インフラ耐震化が求められています。

一方、泊原発を巡っては地域経済への波及効果や雇用維持を期待する声がある一方で、震災後の原子力不安を背景に反対運動も根強く、市民グループや道民投票を求める動きも起きています。電力不足への対応や低炭素社会の実現という観点からは原子力再稼働を支持する意見もあるものの、安全確保と地元合意形成が課題となっています。

以上のように、泊原発は北海道の基幹的電源である一方、廃炉と再稼働の岐路にあり、安全性確保と地域理解が今後の鍵を握る重要なエネルギー施設です。

【主な特徴】 ・所在地:北海道泊郡泊村大岸(日本海沿岸の高台) ・運転開始:1号機1989年、2号機1991年、3号機2009年 ・炉型/出力:加圧水型(PWR)、合計約2,070MW ・運転状況:1・2号機廃炉決定、3号機審査中(再稼働申請) ・安全設備:多重防護構造、耐震耐津波設計、非常用ディーゼル発電機、フィルターベント ・環境対策:海水取水/放水設備の冷却循環、公害防止モニタリング ・地域対応:緊急時防護措置計画(EPZ)、地元泊村議会同意プロセス

【参考文献・サイト】 1. 北海道電力「泊原子力発電所の概要」 https://www.hepco.co.jp/energy/01tomari.html 2. 原子力規制委員会「泊原子力発電所再稼働に係る審査情報」 https://www.nsr.go.jp/data/000215597.pdf 3. 経済産業省資源エネルギー庁「電源構成の現状と将来見通し」 https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/kihon_keikaku/ 4. Wikipedia「泊原子力発電所」 https://ja.wikipedia.org/wiki/泊原子力発電所 5. 泊村公式サイト「泊村の概要と原子力発電所」 https://www.vill.tomari.hokkaido.jp 6. 国際原子力機関(IAEA)「日本の原子力発電に関する報告」 https://www.iaea.org/japan-country-profile

以上の情報を参考に、泊原発の現状や特徴、安全対策、地域との関係性について理解を深めていただければ幸いです。

投稿者 wlbhiro

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