「上皇誕生日(じょうこうたんじょうび)」とは、退位後の天皇、すなわち「上皇」(じょうこう)の生まれた日を指す呼称です。日本国憲法下で初めての例として、2019年(平成31年)4月30日に退位し、同年5月1日に「上皇」となられた平成天皇(明仁上皇)の誕生日である12月23日を特に「上皇誕生日」と呼ぶことがあります。以下では、この「上皇誕生日」について、日本の皇室慣習や法的扱い、記念行事などを中心に解説します。

上皇明仁(あきひと)陛下は1933年(昭和8年)12月23日に生まれ、1989年(平成元年)1月7日の即位以来「天皇」として在位されました。在位中は「天皇誕生日」が国民の祝日となり、毎年12月23日に皇居で祝賀行事や一般参賀が行われ、多くの国民が皇居前の坂下門や宮殿バルコニーに集まりました。しかし、2019年の退位に伴い「天皇誕生日」は皇位継承に合わせて令和天皇の誕生日である2月23日に移行し、12月23日は平日に戻っています。

退位後、明仁上皇は「上皇」と称されるに至りました。これにより、厳密には「天皇誕生日」という国家の祝日ではなく、個人としての上皇の誕生日という位置づけに変更されています。その一方で、皇室内外での慣例として、宮内庁関係者や旧皇族、さらには皇居参会や使用人らが上皇誕生日の記念行事を内々に催すことが知られています。これには、上皇自身の健康を祝うとともに長年の公務に感謝を表し、皇室の伝統を継承していく意味合いがあります。

法的には、上皇誕生日は国民の祝日法や皇室典範上の「祝日」には該当しません。ただし、天皇退位という前例のない事態を経て生じた皇位継承や皇室行事に関する特別法(皇室典範特例法)において、退位日の定めや退位・立太子に関する手続きが整備されています。「上皇誕生日」はそうした制度の中で明文化されたものではないものの、象徴としての皇室慣習の一環として尊重されています。

現在、上皇誕生日は一般の国民にとっては平日ですが、一部メディアや皇室報道では毎年この日に上皇の記念行事の報道がなされます。また、皇室ゆかりの寺社では法要や慰霊祭が行われる例もあります。これによって、退位後も上皇明仁のご生誕に対する国民的関心や皇室への敬愛が継続していることがうかがえます。

【上皇誕生日の主な特徴】 1. 日 付:1933年(昭和8年)12月23日。現行の国民の祝日「天皇誕生日」ではない。 2. 身 分:退位した天皇(上皇)としての誕生日であり、国家の祝日法上では「祝日」に該当しない。 3. 慣 習:宮内庁職員や皇室関係者による内部的な祝賀行事や法要が行われる。 4. 世間的扱い:平日扱いだが、メディア報道や寺社での法要を通じて慶事として認識される。 5. 制 度:皇室典範特例法により退位・立太子の手続きは定められたが、誕生日に関しては明文化された祝日ではない。 6. 継承意義:天皇としての在位期間を振り返り、功績をたたえる象徴的な機会となっている。

【参考文献・参考サイト】 1. Wikipedia「上皇明仁」 https://ja.wikipedia.org/wiki/上皇明仁 2. Wikipedia「天皇誕生日」 https://ja.wikipedia.org/wiki/天皇誕生日 3. 宮内庁公式サイト「皇室のあらまし」 https://www.kunaicho.go.jp/about/gaiyo.html 4. 内閣府「国民の祝日」概要ページ https://www8.cao.go.jp/chosei/shukujitsu/gaiyou.html 5. NHKニュース「退位後の明仁上皇、誕生日に心境語る」 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201223/k10012718741000.html 6. 朝日新聞デジタル「上皇のお誕生日 皇室の新たな節目」 https://www.asahi.com/articles/ASNDC5R6CNDCUTIL00L.html

投稿者 wlbhiro

コメントを残す