アメリカ(米国)の「CPI(Consumer Price Index:消費者物価指数)」とは、都市消費者が購入する商品・サービスの価格変動を総合的にとらえ、基準年と比較して指数化した統計指標です。一般にCPIの上昇率は「インフレ率」を示し、下落率は「デフレ傾向」を示します。米国CPIは、連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定、賃金交渉、年金や給付額の調整などに広く活用され、世界経済動向を測るうえでも最重要の先行指標とされています。
米国CPIの算出にあたっては、毎月約2万種類の商品・サービスの価格データを、約90都市の小売店やインターネット販売から収集します。対象となる費目は、食料・飲料、住居(家賃や持家帰属家賃)、衣服、交通、医療、娯楽、教育・通信、その他用品・サービスなど多岐にわたります。これらを消費構成比(支出比重)に応じてウエイト付けし、基準年(例えば1982–1984年平均を100とする)に対する相対的な価格上昇率を算出することで、総合CPIとコアCPI(食品・エネルギーを除く指数)を公表しています。
CPIには以下のような特徴・意義があります。
1. 毎月公表:米国労働統計局(BLS)が毎月中旬に前月分のCPI速報を発表。迅速な景気・物価動向の把握が可能。 2. 都市消費者ベース:全米約90都市の世帯を対象に調査し、「都市消費者」の支出行動を反映。農村部や富裕層を一部除く点に留意が必要。 3. コアCPIの重視:食品価格やエネルギー価格は変動が大きいため、これを除いたコアCPIが金利政策の判断材料として重視される。 4. 分野別ウエイト:住居(約40%前後)、食品・飲料(約15%)、交通(約15%)、医療(約8%)、教育・通信(約7%)など、支出構成比が詳細に定められている。 5. 金融政策の主要指標:FRBは2%前後の中長期インフレ目標を掲げ、CPI動向を見ながら政策金利(フェデラルファンド金利)を調整する。
以上のように、米国CPIは単なる物価変動の数値ではなく、中央銀行の金利政策、為替相場、世界的な資源需給バランス、グローバル・サプライチェーンの混乱などを映し出す鏡としても機能します。日本を含む他国の消費者物価指数や卸売物価指数(PPI)と並び、先行きの景気動向を占ううえで欠かせない代表的な経済指標です。
【主な特徴(5項目以上)】 1. 発表頻度:毎月公表(前月比・前年同月比を提示)。 2. 対象範囲:全米約90都市の都市消費者を代表。 3. 構成費目:食品・住居・交通・医療・教育・娯楽など多岐。 4. コアCPI:食品・エネルギー除く指数で、政策判断に重視。 5. 基準年の設定:1982–1984年平均を100、相対的な変動を算出。 6. 利用用途:FRBのインフレターゲット、賃金調整、年金額差し替え。 7. 国際比較:各国の同様指標と比較し、グローバルなインフレ圧力を分析。
【参考文献・参考サイト】 1. 米国労働統計局(BLS)「Consumer Price Index (CPI)」 https://www.bls.gov/cpi/ 2. 財務省「海外経済指標(月次データ)」 https://www.mof.go.jp/jouhou/international_economic/data/index.htm 3. 日本銀行「統計局:物価関連統計」 https://www.boj.or.jp/statistics/?t=price 4. 日本経済新聞「米CPI速報–市場・企業への影響分析」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB218J00R20C21A9000000/ 5. 三菱UFJ銀行「マーケット・レポート:米国の物価動向と金融政策」 https://www.bk.mufg.jp/report/eco/market/021.html