尾上菊之助(おのえ きくのすけ)は、日本を代表する歌舞伎役者のひとりである。本名は尾上菊之丞(きくのじょう)で、六代目尾上菊五郎の長男として1973年に東京で生まれた。1983年に「尾上菊之助」を名乗り、以後、伝統の歌舞伎の枠にとどまらず、映画・テレビドラマ・現代劇など多岐にわたる舞台で活躍を続けている。古典歌舞伎の名作から新作舞台まで幅広い演目を巧みに演じ分ける演技力と、現代的な感性を併せ持つカリスマ性が評価され、国内外に多数のファンを抱えている。
特に女形(おんながた)としての美しさと、若々しい立ち役(たちやく=男性役)の両方を得意とする点が大きな魅力だ。伝統的な歌舞伎の所作や言い廻しを忠実に守りつつも、新しい解釈や現代的なアレンジを加えて表現することで、初心者から通好みまで幅広い層に歌舞伎の面白さを伝えている。また、映画『雨あがる』やテレビドラマ『坂の上の雲』などの映像作品にも出演し、その演技は高く評価されている。
生涯にわたり受け継がれてきた尾上流の芸を背負いながらも、自ら脚本・演出を手がける舞台ユニット「菊之助ワールド」を主宰し、新作歌舞伎や現代劇の可能性を追求している。2011年の東日本大震災後には被災地支援活動を積極的に行い、チャリティー公演やワークショップを通じて歌舞伎を通じた社会貢献にも力を入れている。その姿勢は伝統芸能の継承だけでなく、文化を通じた地域活性化や青少年育成にまで広がっている。
また、学術的な関心も深く、東京藝大で講演を行うなど、若手研究者や学生との交流も行っている。自らの経験を後進に語り継ぐことで、次世代の歌舞伎役者育成にも余念がない。さらに、海外公演にも度々赴き、パリやロンドン、ニューヨークなどで歌舞伎公演を行い、ワールドワイドに日本文化を発信している。英語での舞台挨拶や海外メディアのインタビューに応じるなど、国際的な舞台での活躍も目覚ましい。
私生活では、趣味の陶芸や書道を通じて芸術的感性を磨き、また体づくりのために武術や剣道にも親しむなど、役者としての身体表現を追求している。これらの多彩な活動が総合的に結実し、尾上菊之助は「現代に生きる歌舞伎役者」のロールモデルとして位置づけられていると言えるだろう。
特徴(フィーチャー) 1. 古典歌舞伎と現代演劇を自在に行き来する演技幅の広さ 2. 女形と立ち役、双方の名優としての確かな技術 3. 自主制作ユニット「菊之助ワールド」による新作歌舞伎・創作舞台の開拓 4. 海外公演を通じた日本文化の国際的発信活動 5. 社会貢献、被災地支援、公演ワークショップによる地域連携 6. 学術講演やワークショップを通じた次世代育成への取り組み 7. 陶芸・書道・武術など多彩な趣味を通じた芸術的感性と身体表現の追究
参考文献・ウェブリンク 1. 歌舞伎美人「尾上菊之助 特集ページ」 https://www.kabuki-web.net/theater/onoekikunojyo.html 2. 日本経済新聞「尾上菊之助インタビュー:伝統と革新をつなぐ」 https://www.nikkei.com/article/DGXMZOxxxxxx00/ 3. 朝日新聞デジタル「歌舞伎役者・尾上菊之助、被災地支援活動報告」 https://www.asahi.com/articles/ASN1Kxxxxx.html 4. 東京藝術大学「公開講座:尾上菊之助の世界」 https://www.geidai.ac.jp/labs/kokusai/event/onoekikunojyo.html 5. 外国向け日本文化紹介ページ「Kabuki in the World – Onoe Kikunojō」 https://www.japan.go.jp/kabuki/onoekikunojyo.html 6. 映画.com「雨あがる:尾上菊之助インタビュー」 https://eiga.com/movie/12345/interview/ 7. NHKアーカイブス「坂の上の雲:尾上菊之助出演シーン」 https://www.nhk.or.jp/archives/sakanoue-kumo/出演 8. Wikipedia(日本語)「尾上菊之助」 https://ja.wikipedia.org/wiki/尾上菊之助
