石塚裕惺(いしづか ゆうせい、1975年7月12日生まれ)は、日本のメディア研究者・著作家・教育者であり、東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授を務める。専門はデジタル文化論とメディア社会学で、特にソーシャルメディアの影響や情報環境と個人・コミュニティの関係性に関する研究を重ねている。国内外の学会で多数の発表を行っているほか、一般向け書籍の執筆や新聞・雑誌への寄稿も行い、メディアリテラシー向上のための講演活動にも取り組んでいる。
石塚裕惺は、東京都出身。都立高校卒業後、東京大学文学部に入学し、情報文化論を専攻。2000年に文学士を取得後、同大学大学院人文社会系研究科博士課程に進学し、2005年に博士(人文社会学)を取得した。博士論文「ネットワーク時代における〈公共圏〉の再構築─ソーシャルメディアに焦点をあてて─」は、日本社会学会奨励賞を受賞している。
2006年より東京大学大学院情報学環助手、2010年より同准教授を経て、2018年から現職の教授に就任。国内外の大学との共同研究プロジェクトにも多数参画し、欧州・アジア圏の研究者とも連携を深めている。主な研究テーマには「オンラインコミュニティの構造とガバナンス」「デジタル時代の表現の自由と検閲」「AI時代における情報操作の仕組み」などがある。
学術活動と並行して、一般向けの著作も多く手がけている。代表作に『ソーシャルメディア時代の公共圏』(岩波新書、2012年)、『情報リテラシーの未来:デジタル世界を生き抜く知恵』(新潮選書、2016年)、『AIとデモクラシー:信頼の再設計』(中公新書、2021年)があり、これらは大学の授業テキストとしても広く採用されている。新聞のコラム連載やテレビ番組への出演経験も豊富で、メディア利用者としての市民意識向上を目指した解説で好評を博している。
教育者としては、大学院生・学部生の指導に定評があり、研究室では「インターネット・ガバナンス研究会」を主宰。若手研究者の育成に力を入れるとともに、企業や地方自治体との協働によるフィールドワーク型授業も推進している。2019年には、文部科学省「Society5.0時代の教育推進特別委員会」の委員に選出され、教育政策の立案にも携わった。
今後は、5G/6G時代の高度デジタル環境で生じる新たな社会課題を解決するため、AIと人間の共創的メディア環境の構築をめざす研究をさらに発展させる予定である。
<主な特色> ・デジタル文化論とメディア社会学を専門とし、ソーシャルメディアがもたらす公共圏の変容を先駆的に研究。 ・学術書のみならず一般向け書籍やマスメディアへの寄稿を行い、社会実装を意識した発信を実践。 ・国内外の学会・共同研究ネットワークを通じて、グローバル視点でのデジタル社会分析を推進。 ・学生や若手研究者の育成に注力し、フィールドワーク型授業や研究会を主宰。 ・文部科学省や地方自治体の委員会活動を通じ、教育政策やメディア規制の実務に参画。
<参考文献・ウェブサイト> 1. 東京大学大学院情報学環・学際情報学府 石塚裕惺 研究室紹介 https://www.iii.u-tokyo.ac.jp/labs/ishizuka/ 2. 『ソーシャルメディア時代の公共圏』岩波新書(2012年) https://www.iwanami.co.jp/book/b254440.html 3. 『情報リテラシーの未来:デジタル世界を生き抜く知恵』新潮選書(2016年) https://www.shinchosha.co.jp/book/117925/ 4. 日本社会学会 奨励賞受賞一覧(2006年度) https://www.jss.gr.jp/jss/pastaward.html 5. 文部科学省「Society5.0時代の教育推進特別委員会」委員名簿 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/1436853.htm
