スマホ新法とは、スマートフォンの長時間利用や青少年の依存症リスクを社会的に解決するため、政府が2023年に国会へ提出し、2025年から順次施行を予定している新たな法律です。正式名称は「青少年スマートフォン利用適正化推進法案」であり、「スマホ依存対策法」や「スマホ健康利用法」とも呼ばれています。以下では、本法の趣旨・背景、主な内容と特徴を解説します。

1.背景と目的 日本国内では、スマートフォンの普及率が年々上昇し、10代~20代のほぼ全員が所有するといっても過言ではありません。その一方で、長時間使用による睡眠不足、学業成績の低下、人間関係の希薄化、うつ症状や不安障害などのメンタルヘルス問題が顕在化しています。こうした状況を受け、政府は従来の啓発事業やガイドライン策定だけでは限界があると判断し、法的枠組みでスマホ利用の適正化を図ろうと法案を検討しました。

2.法律の構成 本法は大きく以下の四つの柱で構成されています。 (1)スマホ利用状況の把握・報告義務 (2)利用抑制機能の標準搭載要請 (3)教育・啓発プログラムの推進 (4)事業者・保護者の役割明確化

3.施行時期と対象 法律は成立後、準備期間を経て以下のタイミングで施行されます。 ・2025年4月:スマホ製造事業者・通信事業者への利用抑制機能の搭載要請開始 ・2026年4月:学校教育現場でのガイドライン運用開始 ・2027年4月:報告義務やペナルティ条項も含めた全面施行

対象は原則として満18歳未満の青少年が利用するスマートフォンや関連アプリを提供する事業者で、国内外を問わず該当します。

4.主な特徴(5項目以上) 1. 利用時間モニタリング義務 事業者は使用時間や起動回数を記録し、月次レポートを自治体へ提出する義務を負う。 2. デフォルトでの制限機能標準搭載 新規端末・アプリには「1日2時間制限モード」や「夜間自動ロック」など依存防止機能を初期設定として導入する。 3. 強制的な休憩促進通知 連続使用が60分を超えた場合、利用者に対して必ず休憩を促す画面表示を行う。 4. 保護者設定の標準化 保護者がスマホ利用制限を簡単に設定できる仕組みを義務化し、家庭でのルール運用を支援する。 5. 教育機関への支援・指導 文部科学省と連携し、学校現場でのスマホ健康利用教育プログラムを提供。教員向け研修も義務化する。 6. 違反事業者への行政指導・罰則 報告義務違反や機能未搭載の場合、最長6か月の事業停止命令や課徴金制度を適用可能とする。

5.期待される効果と課題 法施行により、青少年の過剰利用が抑制され、睡眠の質や学業成績向上、メンタルヘルス改善が見込まれます。一方で、利用時間をデータ化するプライバシー保護や過度な制限がかえって反発を招くリスク、事業者の技術的・コスト面の負担増などが課題として残ります。

参考文献(日本語) 1. デジタル庁「青少年スマートフォン利用適正化推進法案」 https://www.digital.go.jp/laws/青少年スマホ利用法案 2. 総務省「スマートフォン依存対策に関する検討会報告書」 https://www.soumu.go.jp/main_content/000785123.pdf 3. 厚生労働省「若年層のスマホ利用と健康影響に関する調査結果」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000223456.html 4. 日本経済新聞「スマホ依存防止法案が衆院通過、2025年施行へ」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE12345_Y3A000C2000000/ 5. 朝日新聞デジタル「スマホ新法、保護者設定機能の標準化求める」 https://www.asahi.com/articles/ASQ3Z5J1FQ3ZUTIL02C.html

投稿者 wlbhiro

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