瓦斯(ガス)とは、常温常圧において気体の状態にある燃料用および工業用のエネルギー源の総称です。主に天然瓦斯(メタンを主成分とする炭化水素ガス)や液化石油瓦斯(プロパン・ブタンの混合物)などがあり、都市ガスとして家庭や事業所の調理、給湯、暖房などに広く利用されています。瓦斯は軽質で拡散しやすいため、漏洩すると空気と混合して可燃性混合気を形成し、火災や爆発の危険性があります。そのため、瓦斯の供給・使用には厳格な安全基準や保安設備が設けられており、定期的な点検やメーター、警報器の設置が義務付けられています。

天然瓦斯は主にメタン(CH4)で構成され、硫化水素や二酸化炭素などの不純物を除去した後、ガス管網を通じて各家庭や工場に供給されます。一方、液化石油瓦斯(LPG)は主にプロパン(C3H8)とブタン(C4H10)からなる混合ガスを圧縮・冷却して液化し、ボンベやタンクに充填して配送されます。どちらも燃焼時に二酸化炭素と水を生成し、石炭や石油に比べてクリーンな燃焼特性を持つことから、環境負荷の低減にも寄与します。

瓦斯はエネルギー密度が高く、効率的に熱エネルギーを得られることから、発電所や産業用ボイラー、化学工業の原料としても幅広く利用されています。また、最近では燃料電池の燃料や自動車のCNG(圧縮天然瓦斯)・LNG(液化天然瓦斯)燃料としての活用が進められ、脱炭素社会の実現に向けた低炭素燃料としても期待されています。

しかしながら、瓦斯は可燃性であり、取り扱いを誤ると重大な事故につながります。瓦斯漏れを検知するためのガス警報器や、ガス管の定期点検、消費者教育などを通じて安全対策が徹底されています。また、供給エネルギーとしての安定性を保つため、国内外の供給元や輸入量の多様化、LNGターミナルの整備が進められています。

以下に瓦斯の主な特徴をまとめます。

特徴 1.可燃性:空気中で可燃性混合気を形成し、点火源により燃焼・爆発を起こす可能性がある。 2.無色無臭(添加物で臭い付け):検知しやすいように臭化物などのにおい成分を添加している。 3.高エネルギー密度:同体積当たりの熱量が高く、効率的な熱利用が可能。 4.環境負荷の低減:石炭・石油に比べて二酸化炭素や硫黄酸化物の排出が少ない。 5.多様な用途:調理・暖房だけでなく発電、産業用ボイラー、化学原料、燃料電池などに利用。 6.インフラ整備:ガス導管網、LNGターミナル、ガスボンベ配送網などが整備されている。 7.安全対策:ガス警報器の設置、定期点検、自動遮断弁などの保安設備が義務化されている。

参考文献 1.「ガスの基礎知識」日本ガス協会 https://www.gas.or.jp/knowledge/basic.html 2.「天然ガスとは?」経済産業省 資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/gas/ 3.「都市ガスの概要」東京ガス https://home.tokyo-gas.co.jp/outline/guide/gas.html 4.「液化石油ガス(LPG)」日本LPG協会 https://www.lpg.or.jp/lpgguide/ 5.「ガス安全の取り組み」大阪ガス https://www.osakagas.co.jp/safety/ 6.「燃料電池の燃料としての天然ガス」新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) https://www.nedo.go.jp/library/fuel_cell.html 7.「LNGの輸入と利用」国際石油開発帝石(INPEX) https://www.inpex.co.jp/jp/energy/gas/lng.html

投稿者 wlbhiro

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