CEO（最高経営責任者）とは、企業や組織において経営の最終的な決定権を有し、組織のビジョン設定から戦略立案、実行までを統括する最高責任者を指します。CEOは英語で Chief Executive Officer の頭文字をとったもので、日本語では「最高経営責任者」と訳されます。伝統的に役員会や株主総会から選任され、その企業の中長期的な成長戦略を描き、組織をリードする役割を担います。
CEOの主な職務は、企業理念やビジョンの策定、組織体制の構築と最適化、財務状況の管理、リスクマネジメント、市場環境の変化への対応、そしてステークホルダー（株主、社員、顧客、取引先、社会）とのコミュニケーションです。とりわけ株主価値の最大化と従業員満足度の両立を図りながら、社会的責任を果たすことが求められます。
歴史的には、産業革命以降の大企業化・株式市場の発展と合わせてCEOの役割が明確化しました。日本では戦後の高度経済成長期に経営トップと呼ばれる立場が定着し、バブル崩壊以降のグローバル化とコーポレートガバナンス強化の流れの中で「CEO」という呼称や制度が広く浸透しました。近年はデジタルトランスフォーメーション（DX）やサステナビリティ（SDGs）対応など、新しい経営課題にも取り組む必要があり、CEOの能力要件はますます多様化しています。
CEOに求められるスキルセットとしては、まず強いリーダーシップと意思決定力が挙げられます。加えて、マクロ経済や産業動向に対する洞察力、財務知識、組織マネジメント能力、コミュニケーション能力、危機対応能力、公正性や倫理観も欠かせません。さらに近年は、テクノロジー活用やデータドリブン経営、イノベーション創出力も重要視されています。
また、CEOは単に社内向けのマネジメントだけでなく、アナリストやメディア、政府機関、NPOなど、社外のステークホルダーと対話することが増えています。こうした対外的なパブリックリレーションズ（PR）活動もCEOの大切な役割の一つです。特に情報が瞬時に拡散するSNS時代においては、トップ自らがメッセージを発信し、ブランド価値の向上や危機回避に努めるケースが増えています。
近年のグローバル化の進展により、多国籍企業ではCEOに異文化理解力や多言語対応力が求められることも珍しくありません。これに伴い、CEO自身が現地法人の経営統括やM&A（合併・買収）の推進など、国をまたいだ経営判断を行う機会も増加しています。一方、中小企業やベンチャー企業においては、CEOが創業者である場合が多く、自ら資金調達やプロダクト開発、マーケティングを担うこともあります。
以上のように、CEOは企業の舵取り役として多岐にわたる役割と責任を果たす存在です。経営環境が刻々と変化する現代において、従来の経営ノウハウに加え、イノベーション志向や社会的責任への意識がますます重視されており、今後も進化し続けるポジションと言えます。
【CEOの主な特徴（5項目以上）】 1. 決定権限の集中：最終的な経営判断を下す権限を持つ。 2. ビジョン策定力：企業の長期的な方向性を明確に示す能力。 3. ステークホルダー・マネジメント：株主、取引先、従業員、顧客、社会との関係構築力。 4. リスクマネジメント：市場変動や法規制対応など、企業に影響を及ぼすリスクの予測と管理。 5. コミュニケーション能力：社内外の関係者と効果的に対話し、メッセージを発信。 6. イノベーション推進力：新規事業やデジタル技術導入を主導し、競争優位を築く力。 7. 国際経営対応力：多国籍・多文化環境での経営経験や語学力。
【参考文献・参考サイト】 1. 「最高経営責任者 (CEO)」Wikipedia 日本語版 https://ja.wikipedia.org/wiki/最高経営責任者 2. SMBCコンサルティング「CEOとは何か？」 https://www.smbc-consulting.co.jp/knowledge/ceo 3. 日本経済新聞社「用語解説：CEO（最高経営責任者）」 https://www.nikkei.com/terms/ceo/ 4. 東洋経済オンライン「CEOの役割と求められる資質」 https://toyokeizai.net/articles/-/ceo 5. Forbes JAPAN「世界のCEO最新動向」 https://forbesjapan.com/tag/ceo 6. HBR Japan（ハーバード・ビジネス・レビュー日本版）「CEO特集」 https://www.hbrjp.com/topic/ceo
