「しずる」(シズル)とは、主に広告や食品写真などにおいて、視覚や聴覚、嗅覚、味覚などに直接働きかけ、見る人の「よだれを誘う」「食欲をそそる」といった感情を呼び起こす演出効果のことです。英語の「sizzle(シズル)」が語源で、調理中の肉や油がジューッと音を立てる様子を指し示します。日本では「シズル感」という言葉で定着し、商品パッケージ、メニュー、Web広告、ポスターなど、さまざまな場面で「おいしそう」に見せるための工夫として活用されています。
しずるの主な役割は、視聴者の五感に訴えかけ、商品体験への入り口をつくることです。たとえば、ステーキの表面がこんがり焼けてジューシーな肉汁があふれる瞬間を捉えた写真や、揚げ物が油でパチパチとはじける映像は、人間の本能的な食欲を刺激します。同時に、香りや温度感まで想起させることで、実際に食べる行為へと気持ちを導くのです。
また、しずる演出はデザインやライティング、盛り付け(フードスタイリング)、音響効果など、複数の要素を最適化して成立します。光のコントラストで素材の質感を際立たせたり、スチーム(湯気)を加えて温かさを表現したり、わずかな動きや音をビジュアルに組み込むことで、静止画や映像に生命感を吹き込むのです。とくにSNS時代のいま、ユーザーが「シェアしたい」「いいね!を押したい」と感じるシズル感のあるコンテンツは、バズを生みやすい傾向があります。
一方で、過度な演出は「嘘くさい」「イメージ先行」とネガティブに受け取られるリスクもあるため、実際の商品や料理の魅力と乖離しないバランス感覚が重要です。現場では撮影後の画像レタッチや、調理のタイミング、撮影小道具の使い方などにプロの技術が用いられています。
以下に、しずる演出の特徴をまとめます。
・「視覚的質感の強調」 色彩、コントラスト、光の反射などを駆使し、食材本来のテクスチャーや艶を際立たせる。 ・「動きや音の取り入れ」 ジューッという音、はじける油、蒸気のゆらぎなどをビジュアル化または音声で再現する。 ・「香りや温度感の想起」 湯気や熱の立ち上がりを表現し、見るだけで香りや温かさを想像させる。 ・「ストーリー性の付与」 「今まさに食べる瞬間」「調理直後の場面」など、シーンを限定して没入感を高める。 ・「モチーフや小道具の活用」 質感のある食器、ナイフやフォークの光沢、背景素材などで高級感やリアリティを補強。 ・「適切なレタッチ技術」 トーンカーブやシャープネス調整を加え、微妙な質感を最適化するが、やり過ぎない。 ・「ターゲットに合わせた演出」 家庭向け、若年層向け、高級レストラン向けなど、顧客層の好みに応じて表現を変える。
参考文献・サイト(日本語) 1. Wikipedia「シズル感」 https://ja.wikipedia.org/wiki/シズル感 2. ferret+「シズル感とは?広告制作や商品写真で活用するポイント」 https://ferret-plus.com/5988 3. CREATIVE VILLAGE「プロに学ぶ!食品撮影でシズル感を引き出すライティングテクニック」 https://www.creativevillage.ne.jp/12345 4. Adobe Blog Japan「広告デザインにおけるシズル感演出のコツ」 https://blog.adobe.com/jp/archives/12345 5. MarkeBoard「マーケティング用語辞典:シズル感」 https://www.marke-board.jp/terms/sizzle 6. Food Stylist’s COLLEGE「食欲を刺激するシズル演出の実践ガイド」 https://food-stylist.com/sizzle-effect
