コパ・デル・レイ（Copa del Rey）は、スペインサッカー連盟（Real Federación Española de Fútbol、RFEF）が主催するスペイン国内のナショナルカップ戦であり、1903年に初めて開催されたヨーロッパで最も歴史があるサッカー大会の一つです。直訳すると「王の杯」という意味を持ち、その名の通りスペイン国王への敬意を表して創設されました。当初はアルフォンソ13世（Alfonso XIII）が後援し、後にスペイン王室全体の後援を受ける形で、公式戦として国内クラブに参加資格が与えられるようになりました。
歴史的には、コパ・デル・レイはリーグ戦（ラ・リーガ）とは別に、トーナメント方式で勝ち残りを競うことから、リーグでは下位に甘んじるクラブでも一発勝負の妙味を活かして躍進するチャンスがある点に大きな魅力があります。特にカップ戦ならではの「ジャイアントキリング」（格下クラブによる大物撃破）が度々見られ、サッカーファンのみならず一般社会にも大きな話題を提供してきました。
1950年代以降、試合数の増加や放映権の拡大とともにテレビ中継やスタジアム観戦の人気が高まり、準決勝・決勝の中継視聴率はスペイン国内でも高い数値を維持しています。また、決勝は基本的に中立地の大型スタジアムで開催され、過去にはマドリードのサンティアゴ・ベルナベウ、バルセロナのカンプ・ノウ、セビージャのラ・カルツァなどが舞台となりました。近年はアンダルシア州セビージャ近郊のエスタディオ・ラ・カルツァやマドリードのエスタディオ・マヒコのような新設・改装された施設が採用されており、観客動員や演出面でもますます充実しています。
大会フォーマットは変更を重ねつつも、基本的には一回戦から準々決勝までは一発勝負（またはホーム＆アウェー方式）、準決勝はホーム＆アウェー方式、決勝は中立地の一戦決勝方式で行われます。2023-24シーズン以降は、従来のベスト16以降を集中開催し、一会場で4日間などの短期集中開催を行う「ファイナル・ステージ」導入の議論も進んでいます。優勝チームには国内最高峰の栄誉に加え、UEFAヨーロッパリーグへの出場権（ラ・リーガでの順位により出場権を得られない場合）が与えられ、国際舞台への切符も獲得できることから、リーグ戦以上にモチベーションの高い戦いが繰り広げられます。
これまでレアル・マドリードやFCバルセロナ、アトレティコ・マドリードなどのビッグクラブが最多優勝を分け合ってきましたが、セビージャFC、バレンシアCF、アスレティック・ビルバオなどの伝統クラブが意外な時期にタイトルを奪取するなど、波乱とドラマに満ちた大会でもあります。コパ・デル・レイは、クラブの歴史や国王杯という格式、そして一発勝負の興奮を兼ね備えたスペインサッカー文化の象徴的存在として、今後も多くのサッカーファンを魅了し続けることでしょう。
＜主な特徴（Feature）＞ 1. 一発勝負のトーナメント方式：リーグ戦とは異なる緊張感とドラマが魅力 2. 王室後援の歴史的権威：1903年創設、スペイン国王杯としての伝統 3. 中立地決勝方式：スタジアムを変えて開催、全国的な注目度が高い 4. UEFAヨーロッパリーグ出場権付与：国際大会への道を開く重要性 5. 格下クラブの大番狂わせ：ジャイアントキリングが目立つカップ戦の醍醐味 6. 放映権と観客動員の拡大：テレビ中継、スタジアム観戦ともに人気 7. フォーマットの進化：集中開催や二日制ワンマッチ方式の導入検討
＜参考文献・ウェブサイト＞ 1. スペインサッカー連盟（RFEF）公式サイト “Copa del Rey” URL: https://www.rfef.es/competiciones/copa-del-rey
2. ウィキペディア日本語版「コパ・デル・レイ」 URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/コパ・デル・レイ
3. UEFA公式サイト「Copa del Rey overview」 URL: https://www.uefa.com/insideuefa/member-associations/esp/news/
4. スポーツナビ「コパ・デル・レイ特集」 URL: https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/
5. マルカ（Marca）「Copa del Rey 2023–24」 URL: https://www.marca.com/futbol/copa-rey.html
6. AS（Diario AS）「Copa del Rey in numbers」 URL: https://en.as.com/tag/copa_del_rey/
